岡野歯科医院
日本顕微鏡歯科学会認定医顕微鏡歯科治療|根管治療|マイクロスコープ|武蔵小杉駅徒歩1分完全予約制・自由診療TEL.044-711-8241
役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

役立つ歯のコラム

むし歯・歯周病予防の必須アイテム、歯間ブラシを使うときの5つの注意点

むし歯・歯周病予防の必須アイテム、歯間ブラシを使うときの5つの注意点

1毎日の歯磨き(ブラッシング)、上手く出来ているとは限らない

皆さんは、1日に何回歯磨きをしますか?
朝、昼、晩の3回の方もいれば、朝だけという方もいるかもしれません。丸1日歯磨きをしない日もある、という方もいらっしゃるでしょうか?
子どもの頃、大人に教わって歯磨き(ブラッシング)をする習慣を身に着けた方が多いと思います。恐らく、具体的な歯のみがき方も自己流では無いでしょうか?お母さんに教えてもらった、学校で教わったなど、今、身につけている歯磨きの方法は、いずれも誰かに教わった方法で磨いているのではないでしょうか。

ただし、一日に何回も歯ブラシを掛けても、むし歯や歯周病の原因である歯垢が落ちているとはかぎりません。

現在、日本において歯を抜く(抜歯)原因の第一位は歯周病、第二位はむし歯です。いずれも、歯垢の中の歯周病菌やむし歯菌が主な原因となる、歯や歯ぐきの病気です。単純に考えれば、歯周病もむし歯も、原因菌の固まりである歯垢を落とす事で予防できるはずなのですが、一向に歯周病もむし歯も根絶されていません。

何故、予防できないか。予防でない理由については、いくつかの理由が考えられます。

日々の歯ブラシで歯垢が上手く落ちていないことも考えられますし、近年盛んに行われている歯科医院での歯のクリーニングにも問題があると考えています。また、精度の悪い(適合性の良くない)詰め物がはいっていて歯の周りに歯垢が溜まってしまっていたり、歯ぎしりによる負担過重があったりと、歯周病やむし歯が予防できない原因は様々です。

ここでは、むし歯・歯周病予防に役立つ知識として歯の周りの歯垢落とし(歯磨き)についてお話ししたいと思います。

エッ!?っと思われる話もあるかもしれませんが、実際に私の医院で日々目の当たりにしていることです。真剣に予防をするためには何をするべきかを実際の経験に基づいてポイントをまとめました。

Photo.

2歯のクリーニング(P.M.T.C)では予防できない

『予防歯科』という言葉をよく聞くことが多くなりました。予防歯科は、主にむし歯や歯周病の検診・予防処置・指導を行うという事です。当医院でも、治療が一段落してからも定期的に受診していただき、歯周病やむし歯にならないような歯の定期検診を実施しています。

現在予防処置の中で、広く行われているのが歯のクリーニング(P.M.T.C)です。

しかし、当医院では予防処置として歯のクリーニング(P.M.T.C)は行っていません。かわりに、歯磨き(ブラッシング)指導に時間を費やし、日常の歯磨き(ブラッシング)が確実に行えることを目的とした指導を行っています。(過去のブログにも詳しく説明しておりますのでこちらを御覧ください。https://www.okano-do.com/column/yobou.html

何故、そのようにしているか?その答えは下記のとおりです。

数ヶ月に一度、歯のクリーニング(P.M.T.C)にて歯垢や歯石を落としても、毎日の正確なプラークコントロールができていないと、翌日から歯垢は溜まり始め、次のクリーニングまで歯垢は溜まりっぱなしになります。歯垢がずっと残ったままになっていれば、少しずつむし歯や歯周病は進行します。つまりは、むし歯や歯周病の予防には、日々のセルフケアが何より重要であるという考えから、当医院は歯のクリーニング(P.M.T.C)ではなく、歯磨き(ブラッシング)指導により予防をしています。

口の中は暗く見えづらいところも多いので、実際行われる歯のクリーニング(P.M.T.C)で、きちんと歯垢が除去できているかどうかは分かりません。そのように不確かなクリーニングを行うより、ご自身での日々の歯垢落とし(ブラッシング)を確実にする方が確かな予防に繋げられるのです。

以前、当医院でも歯のクリーニング(P.M.T.C)をやっていた時期がありました。その時は、歯のクリーニング(P.M.T.C)で時間が費やされ、ブラッシング指導や生活習慣指導は十分行えませんでしたし、それで予防ができると考えていたのですが、上手く予防ができているという実感を全く抱く事ができませんでした。そうしていく間に、新たなむし歯が見つかり、そしてまた治療の繰り返し・・・。最後には歯がなくなってしまいます。

当医院では定期検診は、歯磨き指導(ブラッシング指導)と生活習慣指導を中心に行い、歯のクリーニング(P.M.T.C)は行わないようになりました。その結果、むし歯や歯周病の再発率を下げることに成功しました。もちろん、清掃性の高い詰め物や被せ物を入れなおしていることも予防に大きく貢献しています。

それでは、ここから適切な歯磨き(ブラッシング)についてお話したいと思います。

関連ページ

3まず、むし歯の好発部位(むし歯ができやすいところ)を知ろう

最初に、むし歯の後発部位について知る必要があります。様々な形、向き、大きさ、生え方によって、歯垢のたまり易さが異なります。お口の中の歯すべてが、同じ(むし歯の)リスクではありません。1本1本の歯で異なりますので注意が必要です。

まず、むし歯の好発部位は、歯と歯の間、歯ぐきの近く、噛む面や横の面の窪みです。これらの場所は、いずれも咀嚼時に食べ物があたりにくいため自浄性が悪く、歯ブラシも当たりにくいところです。

特に、歯ブラシの毛は歯と歯が接触している隣接面の近辺には届きません。そこには歯ブラシが届きにくいだけに、むし歯や歯周病が起こりやすいのです。ですので、何とか隣接面に溜まった歯垢を落とさないといけません。そのために歯と歯の隣接面の清掃には、歯間ブラシやデンタルフロスを使う必要があります。

ただし、歯肉が下がって歯と歯の間が広がっていないと歯間ブラシは入りませんし、フロスは歯の表面に凹みがあると、そこに溜まった歯垢は落とせません。なので、隣接面の歯垢落としは、ケース・バイ・ケースで状況にあわせて清掃の道具を換えて行く必要があります。

又、歯間ブラシを使って清掃していても、自己流で行っていると歯垢が上手く落ちていない可能性があります。
歯肉が痩せてしまっていて歯と歯の空隙が大きく空いていると、細い歯間ブラシでは歯垢は落とせません。その場合は、歯間ブラシを太くしないといけません。一本一本歯の形も違うので、歯間ブラシの当て方も変わります。ですから、きちっと歯垢を落とすためには、言葉だけで説明をうけるのではなく、歯科医師や歯科衛生士による、手とり足とりのブラッシング指導が必要なのです。

歯間ブラシはむし歯・歯周病予防には、欠かせないアイテムだけに、正しい歯間ブラシの使い方を理解していただき、インプラントや義歯にならないよう心がけていただけたらと思います。ここからは、具体的な歯間ブラシの使用方法を簡単に解説いたします。

4歯間ブラシを使って歯と歯の間の歯垢を落とす方法

歯と歯の間の歯垢を落とすための道具には、デンタルフロスと歯間ブラシがあります。デンタルフロスの使い方に関しては、以前のブログ(https://www.okano-do.com/column/hamigaki5.html)をご覧いただきたいと思います。ここでは、歯間ブラシの使い方に的を絞って、お話ししたいと思います。
歯間ブラシはその名の通り、歯と歯の間の歯垢を落とす専用のブラシです。

このように歯と歯の間にブラシを挿入して歯垢を落とします。

関連ページ

注意点1:歯間ブラシは歯と歯の間の歯肉が痩せてきている場所に使う清掃器具

歯間ブラシは、歯と歯の間の歯肉が痩せてきている場所に使う清掃器具です。歯と歯の間の歯肉が、まだ痩せ落ちていない場所に無理やり使うと、歯肉が傷つくことにより痩せていってしまうかもしれません。
場合によってはデンタルフロスを使って清掃したほうがよいこともあるので、歯間ブラシを使うべきかどうかは、歯科医師の指示を仰いでください。

Photo.歯間ブラシ
歯間ブラシ

歯間ブラシを使うべきかどうかは、歯科医師の指示を仰ぐ

注意点2:痩せ具合に合わせて太さを選択する

歯間ブラシは、歯と歯の間の歯肉の痩せ具合に合わせて太さを選択します。すき間が大きいところに、細い歯間ブラシを通しても、歯間ブラシの毛が歯垢に当たらずに歯垢が残ってしまいます。
逆に歯肉があまり痩せていない、すき間の狭いところに太い歯間ブラシを入れようとすると、歯間ブラシが入らないか、歯肉を傷つけてしまう可能性があります。個々の歯と歯の間に、どのブラシが適正なのか、やはり歯科医師の指示を仰いでください。

注意点3:5往復くらいブラシをかける

歯間ブラシを歯と歯の間に通す回数は、歯垢の硬さにもよりますが、通常は5往復くらいです。回数が少ないと十分に歯垢が落ちていなかったり、回数が多すぎると歯肉を傷つけることもありますので注意が必要です。歯肉が炎症を起こしていないのに、歯間ブラシを入れた時に歯間ブラシに血が付いてくるのは歯間ブラシが太すぎて歯肉を傷つけているか、歯間ブラシを掛けすぎて歯肉を傷つけている可能性があります。

関連ページ

注意点4:毛の硬さに注意

歯間ブラシにもブラシの毛の硬さがあります。毛の硬さが硬いと歯垢がよく落ちるのですが、歯肉は傷つきやすくなります。歯垢や歯肉の硬さ、歯肉の炎症の状態などによってブラシの毛の硬さを選択すべきですので、歯科医師の指示を仰ぐことをお勧めします。

注意点5:歯間ブラシを挿入する角度

歯と歯の間の歯肉が痩せてくると、歯間ブラシを歯と歯の間に通しても、歯間ブラシの毛が十分に歯垢に当たってこない場所が出てきます。その場合には下のように歯間ブラシを挿入する角度を変えて、ブラシの毛を歯垢に当てていきます。
難しいテクニックですので、どのくらいの角度で歯と歯の間に挿入していくかは、やはり歯科医師の指導を受けるべきです。

Photo.
Photo.

5歯間ブラシの使い方まとめ

歯間ブラシは、是非使っていただきたい清掃器具のひとつですが、使い方によっては歯茎を傷つけたり歯肉が落ちたりと逆効果になってしまうこともあります。

また、うまくフィットしていない詰め物や被せ物のつなぎ目には歯垢がたまりやすいのですが、そこにたまった歯垢は歯間ブラシではうまく落とせないことが多いです。
フィットの良い詰め物や被せ物に入れ直してから歯間ブラシをすると、歯垢が上手く落ちて歯が長持ちします。
この詰め物・被せ物の適合の大切さについては、以下のブログでも説明しておりますので、ご参考にしてください。

関連ページ