本ケースは、歯列矯正治療で歯の神経が壊死した可能性があるケースです。下顎前歯の2本が、歯列矯正治療前の撮影したCT画像には膿の影が無かったのに、歯列矯正治療後に撮影したCT画像には膿の影がみられました。
歯列矯正によって下顎前歯2本の歯根の唇側が根尖近くまで歯肉から露出し、歯列矯正治療後に撮影したCT画像では2本の内の1本歯は歯槽骨から根の先が飛び出ていました。根の先にできた膿の改善と歯肉の回復が少しでも得られるか精密根管治療を行うことになりました。

歯列矯正治療前の下顎前歯の冠状断のCT画像です。
下顎前歯の根の先には膿の影はみられません。


上の二つの画像は、冠状断のCT画像で表示した
下顎前歯2本歯の歯列矯正治療前の矢状断のCT画像です。
2本とも根の先には、膿の影は見られません。

歯列矯正治療後の冠状断のCT画像です。
赤い矢印と青い矢印の下顎前歯2本の根の先に膿の影が見られます。

冠状断のCT画像の赤い矢印の歯の歯列矯正治療後の矢状断のCT画像です。
矢印の先の根の先は平らに歯根吸収し、更に歯槽骨から外に飛び出していました。

冠状断のCT画像の青い矢印の歯の歯列矯正治療後の矢状断のCT画像です。
根の先は歯槽骨内にありますが、大きな膿の影がみられました。
矯正治療により歯髄壊疽を起こしたことが考えられます。

精密根管治療を行い膿の改善をはかりました。
画像は、下顎前歯の根管充填のレントゲン画像です。
歯槽骨から歯根が飛び出している方の前歯は、
適切な根管治療を行なっても歯槽骨が再生されないかもしれませんが、トライしました。

精密根管治療12ヶ月後の下顎前歯の冠状断のCT画像です。
歯槽骨から歯根が飛び出していた方の前歯は残念ながら
他院にて抜歯されていました(赤い矢印の先)。
やはり、予後不良だったと思われます。
もう片方の前歯は、膿の影が消失しました(青い矢印の先)。
根の先が歯槽骨内に残っていたため、
精密根管治療により歯槽骨が再生できたと考えられます。

精密根管治療12ヶ月後の下顎前歯の矢状断のCT画像です。
歯槽骨から歯根が飛び出してなかった方の前歯は、膿の影が消失しました。
本ケースのように、歯列矯正治療後歯槽骨が無くなって大きく歯根が露出し、更に歯の神経が壊死して根の先に膿があると一般的には抜歯になってしまうことが多いと思います。しかし、歯槽骨から歯根が飛び出していたりしていなければ、根管治療によって歯を残すことができるかもしれないです。
《根管治療の主な副作用》
ラバーダム防湿が必要になり、開口時間が長くなります。歯科用顕微鏡による精密根管治療は、肉眼や拡大鏡では見えないところ(治療が不十分であった部分)が見えるようになるため、なすべき治療が増えるので治療時間や治療日数がかかります。
《治療期間》
おおよそ、3〜5日(1回1時間の目算です。)
《治療費》
精密根管治療費(消費税込み):前歯132,000円、小臼歯154,000円、大臼歯 176,000円








