「ファイバーコア」
メタルコアとファイバーコア
むし歯等により歯が大きく欠損した場合、欠損した歯を被せ物などで修復する必要があります。
むし歯を除去し、そのまま被せ物を被せられるのであれば問題はありませんが、かなり大きく欠損した場合は、補填して土台を作らなければならないケースもあります。
この土台作りを支台築造(コア)と言います。代表的なものとして、金属からなるメタルコアと樹脂からなるファイバーコアがあります。
以下がメタルコアが入った歯です。銀色が金属部分です。
上の歯にファイバーコアを入れた歯です。
直接法と間接法
支台築造(コア)の作り方には2種類あります。
一つは、型採りをしてから土台を製作し、接着剤で歯に装着する『間接法』で、もう一つは、型採りをせずダイレクトに歯にコアを盛り上げていく『直接法』です。メタルコアは間接法で接着剤で装着され、ファイバーコアは直接法と間接法のどちらも可能です。
間接法はで装着する際には、型採りした後に製作したコアを、土台の歯に後から差し込むように装着します。
コアを差し込むためには差し込み部の歯質にでこぼこがあるとコアが差し込めないので、予め平らになるように歯質を削らなければいけません。そのため直接法で装着する場合よりも、歯を多めに削ります。
反面、直接法での装着は、欠損した歯の最初の状態をほぼ維持しながら土台を盛り上げていきます。そのため、歯質を削る量を減らすことができます。このように、直接法による支台築造ができることがファイバーコアの大きな特徴です。
ファイバーコアのメリット・デメリット
その他、ファイバーコアを取り入れるメリットは以下の通りです。
- ①金属アレルギーがある方には、素材が樹脂であるファイバーコアが多く使われます。
- ②ファイバーコアは、メタルコアに比べて光を多く透過させるため、歯の修復でより自然な明度を再現することができます。
- ③ファイバーコアは、素材に金属を使わないため金属の歯への染み込みによる変色はありません。
- ④直接法によるファイバーコアは、歯を少なく削らずに済む反面、樹脂の収縮の影響をうけやすい事がわかってきています。
岡野歯科医院では
被せ物の土台となるので、支台築造(コア)はとても重要です。
土台作りは、その後の歯の運命を左右しかねない大事な工程なのです。例えば、いくらきれいな建物を建てても、基礎の土台がしっかりしていないと、建物が台無しになってしまいます。被せ物をした歯の土台は、最終的には被せ物の下に隠れてしまいますが、歯を長持ちさせるためにとても大事なものなのです。
岡野歯科医院では支台築造(コア)には、ほぼ100%の割合で『直接法』のファイバーコアを採用しています。
ファイバーコアを採用する一番の理由は、『直接法』で装着することで、歯を削る量を減らせるからです。歯を削る量が少ないと歯が薄くなりにくくなるため、将来、歯根破折が起こる確率を減らす事ができます。
但し、ファイバーコアにも、デメリットがあります。
『直接法』のファイバーコアは、樹脂の収縮による接着不良をおこすことがあると言われています。これが、ファイバーコアの信用性を下げてしまう理由の一つです。樹脂が収縮すると、歯と樹脂の間に隙間ができてしまい、その隙間から細菌が感染する確率が高くなってしまいます。(黄色いラインを消してください)そこで当医院では、ファイバーコアの樹脂の収縮率が最小限になる樹脂を採用することで、この弱点を補完しています。
更に、ファイバーコア施術時には、可能な限り、ラバーダム防湿を行い、根管への再感染の防止や確実なコア材の接着を心掛けています。確実なファイバーコアの接着、および、支台築造時の再感染を起こさせないためにも、ファイバーコア作成時にはラバーダム防湿をすべきと考えています。