日本顕微鏡学会認定医顕微鏡歯科|根管治療|東横線・目黒線「武蔵小杉駅」徒歩1分
完全予約制TEL.044-711-8241

日本における根管治療の成功率について

日本における歯の神経治療の現状

本サイトには、たびたび日本の根管治療の成功率は30〜50%(失敗率は50~70%)であるというデータを提示しております。
本ページでは、上記の成功率の裏付けとなる文献を紹介いたします。私自身も日々実感している事です。

2010年7月に政府統計による『保険診療請求回数の全国集計』が公表されています。その公表データを見ると、その前年である2009年度の1年間における全国の永久歯の根管治療の保険診療請求件数は約1,350万件、そのうち抜髄は約600万件、感根処(感染根管処置)は、約750万件(表1)です。

抜髄とは、歯の神経をその歯が初めて抜く一回目の根管治療であり、後者の感根処(感染根管処置)とは、歯の神経の治療の再治療(やり直し)のことです。
初めて歯の神経をとる根管治療よりも、歯の神経のやり直しである再根管治療(感染根管処置)の方が多いのです。これは何を示唆するのでしょうか。

一回目の根管治療(抜髄)が成功していれば、当然抜髄より再治療である感染根管処置が多いという事にはなりません。また、再根管治療が上手くいっていれば、感染根管処置の数は限りなく少なくなっていくはずです。つまり、抜髄も再根管治療も両方とも上手くいっていないのです。
一回目の根管治療が上手くいかず、再根管治療をしてもかなりの歯が治っていない事が推測されます。

その結果、抜歯されてしまうのです。

保険診療請求回数

根管治療の成功率についての学術的データ 

さらに、根管治療(歯の神経治療)が施された後、どのような経過を辿っているかを調べた調査データがあるのでご紹介いたします。

本サイトでも何度もでてきますが、下記の図は、根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率を示したデータです。根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率とは、根管治療した後の根の膿の発現率のことです。

根尖部とは歯の根っこの先端の事で、歯の根っこに膿があると、根尖部にある膿がレントゲンに影として映ります(膿を持っていても映らないことがあります)。

もちろん、この根尖部X線透過像の中には、治癒途中にあるものや、瘢痕治癒(傷のような治り方)したもの、咬合に起因するもの、垂直歯根歯折によるものなど、様々な原因のものも含まれますが、根管治療後4年後において、これら根尖部X線透過像の完全な消失が見られなければ根管治療は失敗とみなされるヨーロッパのガイドラインの基準と照らし合わせると、日本における根管治療の現状は、決して誇れるものではないと、本文献(※1)にも述べられています。

根管治療のX線(レントゲン)透過像調査(神経の治療の失敗率)のグラフ

上記図では、上顎前歯は約70%、上顎小臼歯は約60%、上顎大臼歯は約65%、下顎前歯は約50%、下顎小臼歯は約55%、下顎大臼歯は約65%、智歯は約70%と、調査した歯において、根尖部X線透過像が50%以上みられています。

これらより、日本における根管治療の成功率は30~50%(失敗率は50~70%)であると、当サイトで提示しています。

根管治療失敗の主な理由

また、日本における根管治療の成功率が、なぜ低いのかについて、参考文献(※1)では、歯内療法における無菌的処置原則が必ずしも守れられていないと言及しています。

歯内療法(根管治療)における無菌的処置原則とは、ラバーダム防湿処置のことです。
ラバーダム防湿を行わない根管治療の成績は、ラバーダム防湿を行って治療した群と比べると、統計学的に優位に劣ると報告されています。

また、多くの患者がラバーダム防湿下での処置を要望しているにもかかわらず、実際にラバーダム防湿処置を必ず行うと答えたのは、一般歯科医師で5.4%、日本歯内療法学会会員でさえも、25.4%に過ぎなかったと報告されています。

ラバーダムの利用状況

もちろん、根管治療時のラバーダム処置は日本歯内療法学会のガイドラインでは、必須とされています。

根管治療を行うにあたって、他の先進国でもラバーダム防湿は必須の処置です。根管治療の成功率を上げるためには、まず、するべき事をする、使うべき道具を使う事が重要です。そこからが、スタートなのです。

根管治療を成功させ抜歯から免れるためには、根管治療を成功させる機材、術式、治療時間など、様々なものが必要であるという事をご理解いただけたらと思います。

※1:参考文献『わが国における歯内療法の現状と課題』須田 英明
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科接触機能保存学講座歯髄生物分野/平成23年 発表)

文献ダウンロード

役立つ歯のコラム

  • 2021
  • 10/11

【お悩み相談】Q5.子供の乳歯がむ…

以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと思い、この度「お悩み」と、その解決法の提案に…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2021
  • 9/28

【お悩み相談】Q4.近所の歯科医院…

以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと思い、この度「お悩み」と、その解決法の提…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2021
  • 9/07

【お悩み相談】Q3.ほとんど歯医者…

以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと思い、この度「お悩み」と、その解決法の提…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2021
  • 9/07

【お悩み相談】Q2.歯茎から膿が出…

以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと思い、この度「お悩み」と、その解決法の提…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2021
  • 9/02

【お悩み相談】Q1.毎回、同じ所の…

以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと思い、この度「お悩み」と、その解決法の提案に…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2021
  • 8/26

むし歯治療を先延ばししない方が…

お口の機能は全体が整って初めて正常に機能します 『1本の歯の治療だけではなく、他の歯の治療まで必要なのかな…』と思われるか…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2019
  • 4/15

口腔乾燥(ドライマウス)とむし…

長寿社会で、より一層大切なお口の健康 日本人の平均寿命は、年々更新されており、平成29年(2017年)の調査によると日本人の平…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2019
  • 3/12

ストレスと歯周病の関係

歯周病のリスクファクターは主に3つ みなさんもご存知のとおり、『歯周病』とは、歯を抜くことになる原因の50パーセントを占める疾…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2019
  • 2/13

“歯「磨き」”は、もうやめましょ…

“歯「磨き」”は何をしているの? 皆さんは、歯磨きは何をしているか知っていますか? 改めて、歯磨きは『何をしているのか?』と…

詳細を見る
詳細を見る
  • 2018
  • 12/26

静かに忍び寄る歯周病への対処法…

歯を失う二大原因は 本コラムをお読みの皆さん。 皆さんは、『歯を失う二大原因』をご存知でしょうか? これらは、すでに、…

詳細を見る
詳細を見る

お知らせ