岡野歯科医院
日本顕微鏡歯科学会認定医顕微鏡歯科治療|根管治療|マイクロスコープ|武蔵小杉駅徒歩1分完全予約制・自由診療TEL.044-711-8241
役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

用語解説

「歯根破折」

歯根破折とは

歯根破折歯根破折とは、歯の根(歯根)にヒビが入ったり、割れている状態を言います。歯根は歯茎に埋まっていますが、歯根破折を起こし根にヒビが入ると、そのヒビから細菌が歯茎の中に侵入し、歯茎が膿んで腫れたり、痛みを起こしてきます。

歯根破折は、歯にとってはとても深刻な状態で、割れ方によっては抜歯の転機をとります。

2018年に行われた『8020推進財団』の調査では、抜歯の理由の第1位は歯周病(37.1%)でした。
ついで、第2位はむし歯(29.2%)、第3位は歯の破折(17.8%)でした。

また、スウェーデンのAxelssonらは、『口腔衛生の良い人たちが、どのような原因で抜歯に至ったか』を、30年に及ぶ追跡調査を行っています。その報告では、むし歯は7%、歯周病は5%、歯の破折は62%ということでした。

この調査から、口腔衛生が良い人は新たなむし歯や歯周病の発生自体は少ないため、歯の破折が一番の原因となっているということがわかります。

このように、調査対象の口腔状態によって数値が変わりますが、歯根破折はいずれも抜歯の原因の上位を占めます。
それくらい、歯根破折と抜歯は密接に関係していると言えます。

歯根破折は、同じく歯茎に膿を持ってくる根尖病変との鑑別が難しいことがあります。歯茎から上に見えている歯の部分に破折がなく、歯茎の下の見えない歯根部分に破折があることも多く、歯根破折と気がつかずに、なかなか治らない難治性の根尖病変と誤って診断されることもあります。診断には、CT画像と根管内を治療用顕微鏡で目視してヒビを確認する方法を組み合わせると、より確実な診断ができます。

抜歯に至るケースと抜歯を回避できるケース

歯根破折は、その割れ方によって、その予後が大きく変わります。

治療により歯が残せるケースもありますが、残せないケース(抜歯)もあります。

抜歯に至るケースは、歯根が歯肉の下の奥まで、もしくは歯肉の奥深く(あごの骨の深く)で割れている場合です。
抜歯を回避できるケースは、割れ方が水平に近く歯肉の下の奥までいっていない場合です。水平に近ければ近いほど歯肉の下に破折がいきにくいことが多いので、治療によって歯が残せる確率が上がります。

また、歯肉の下(歯肉縁下)で、比較的浅く歯が斜めに割れている場合は、歯を歯肉縁上に小矯正で牽引したり、歯冠長延長術で歯肉を割れているところまで下げる処置をして歯を残すことができます。

近年では、歯根が割れている部位を接着し、歯を再度使っていく治療法も行われていますが、まだ確立された治療法ではないので、経過不良を起こすリスクを理解した上で、施術を受けたほうが良いと思います。

岡野歯科医院では

歯根破折の原因は、歯にかかる瞬間的、もしくは慢性的な過剰な力です。

たとえば、歯ぎしりや食いしばりなどによって過剰な力がかかりすぎると、歯根破折を引き起こします。

そして歯根破折は、神経をとった歯に多く起こるため、まずは、神経をとらないようにすることを心掛けることが重要です。
当医院では、歯根破折を予防するため、たとえむし歯が大きくても、すぐに神経は取らずに、まず神経を残す処置(覆髄)を試みます。

また、関連ないように思われやすのですが、実は詰め物や被せ物と歯とのつなぎ目のフィット(適合)も間接的に影響します。
何故かというと、フィットが悪い(不適合)と被せ物と歯とのつなぎ目に歯垢が溜まるため、それが元でむし歯が再発します。それを放置しておくと、重症のむし歯になってしまいますので、結果、歯の神経をとらなければならなくなることがあります。

詰め物や被せ物治療後、むし歯の再発を避け神経をとらないようにするためには、歯とのつなぎ目をピッタリ合わせ、つなぎ目に細菌が溜まりにくくすることが重要なのです。

段差のある詰め物、段差のない詰め物

当医院では、詰め物や被せ物と歯とのつなぎ目のフィットを上げる(適合性を高める)ことを最重要と考え、詰め物・被せ物治療に日々あたっています。それによってむし歯の再発を抑え、歯の神経を残すようにすることにより、歯根破折の予防につなげていきます。

顕微鏡歯科治療を始めて15年目になりましたが、精度の良い詰め物・被せ物が、いかにむし歯の再発を抑えることができ、歯の長持ちに繋がるかを目の当りにしてきました。

また、審美的な詰め物(白い詰め物)は、特に適合の精度が下がる(フィットが悪い)ので、自由診療で入れた詰め物が、必ずしも精度が良いとは限らないということも知っておいていただきたいと思います。