根管治療の流れ
※本ケースは、あくまでも治療の流れをイメージしてもらうためにまとめた一般的な治療の流れです。患者さんの個々の状況により、治療内容に多少の差異が生じますので予めご了承ください。
初回カウンセリング
01
初診当日はカウンセリングとなります。
① 問診表の記入:問診表の記入と院長による問診を行います。
② マイクロスコープ検査と診断:問診内容を確認の上、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)による口腔内の検査。 必要に応じて、レントゲンまたはCTの撮影をいたします。
③ 治療計画および治療内容のご説明:検査結果をもとに、口腔内の状況の説明、主訴の部位の治療方法のご説明、治療費の概算をお話しいたします。 診断結果により、症状によっては応急処置または投薬をいたします。
※治療期間、費用等、患者さんと相談の上、治療方針を決定いたします。その後、次回の治療予約となります。
むし歯の除去と隔壁作成
02
むし歯が残っていると、そこから根管に細菌感染してしまう可能性がありますので、完全にむし歯を除去し、除去による歯の欠損を補うためにコンポジットレジンを用いて隔壁を作成しラバーダム防湿が設置できる状態にします。
ラバーダム防湿
03
ラバーダム防湿をすることにより、根管治療中の根管への唾液などの侵入による細菌感染を防ぎます。また、ラバーダム防湿をすることにより、根管治療中の歯肉への薬剤の漏洩も防げるため、次亜塩素酸ナトリウムなどの適切な消毒剤を安全に使うことができるようになります。
根管内の汚染物質の除去
04
CT画像を参考にしながら、治療用顕微鏡を使って、ファイルなどの根管治療専用の器具を用い、根管の中の歯髄や腐敗した歯髄の取り残し、細菌感染で汚染された根管充填材などの汚染物質を根管内から完全に除去します。
根管の洗浄
05
さらに、消毒の薬剤で根管を隅々まで洗浄し、根管を殺菌・消毒し、さらに綺麗な状態にします。
根管充填
06
根管を根の先まで封鎖する根管充填を行います。適切な根管充填をすることにより、細菌が根管の中に埋葬・不活性化され根管のなかで繁殖することがもうできなくなります。根管充填後は、通常3〜6ヶ月の経過観察に入ります。
治療判定
07
当医院では通常、根管治療終了後6ヶ月後に患部のCT撮影を行い、治療効果を判定しています。
根尖病変(根の先の膿)の改善がみられた場合は、被せ物治療に移っていきます。
病変の改善が見られない場合は、患者さんと相談後、外科的歯内療法、歯根の部分抜歯、または抜歯を予定します。
08
根尖病変が小さくなり改善が見られた場合
被せ物治療
被せ物治療とは根管治療では最終段階の治療です。
実際に咬めるようになって初めて、歯としての機能を回復しますが、回復された状態を維持させるためには、むし歯の再発や歯周病などを防ぐ必要があります。
むし歯の再発と歯周病は口腔ケア(ブラッシングなど)の影響を受けるのですが、ケアのテクニックと同時に大事なのが被せ物の適合です。そもそも、適合が悪いとむし歯や歯周病の原因である歯垢は、歯科医院でのクリーニングでも落ちません。。
また、適合が悪いとつなぎ目から細菌が徐々に侵入し根管を再汚染する可能性があります(※1)。よって必然的に、成功した根管治療の状態をより長く保つためにも適合の良い被せ物が必要なのですが、これらは歯科医師にも歯科技工士にも高い技術が要求されます。
当医院の強みの一つがこの適合です。適合が良けれは成功した根管治療の状態も維持されやすいですし、口腔ケアによるむし歯や歯周病の発生も防ぎやすくなります。
根尖病変の改善がみられない場合
外科的歯内療法・分割抜歯・抜歯
外科的歯内療法とは、通常、再根管治療しても根尖病変が治らない場合に行われる治療です。外科的歯内療法には、1)歯根端切除術と2)意図的再植術があります。
1)歯根端切除術は、歯肉を切り開いて根尖の病巣を除去した後に、感染の元になっている歯の先端を切除する方法です。
2)意図的再植術は、上記の歯根端切除術ができない場合に選択されます。歯を抜歯し根尖の病巣を除去後、感染の元になっている歯の先端を切除します。その後、抜歯した場所に戻します。
いずれの治療も事前に根管治療で根管を可能な限り殺菌・消毒しておくことが 重要で、それが長期的な予後に影響します。当医院は、いきなり外科的歯内療法 はせず、再根管治療で根管を徹底的に殺菌・消毒した後に、それで治らなかった 歯だけ外科的歯内療法をするので長期的な予後が良いのが特徴です。根管が十分 に殺菌・消毒されていないまま手術をしても一時的には治りますが、後々、根管 から細菌が出てきて根尖病変が再発してしまいます。