
記事概要
歯の神経の治療を根管治療と言います。このコラムを読まれている方の中には、これから根管治療をする方、根管治療中の方、根管治療が以前に終わっている方もいると思います。
根管治療は歯科治療の中でも特に重要な治療の一つで、歯の中の根管にある歯髄をとったり消毒したりする治療であり、とても繊細な技術が必要です。そういうことから、日本の根管治療の成功率は低く、失敗が多い治療です。
日本では保険による根管治療と自費による根管治療が選べます。
今回は、保険による根管治療と自費による根管治療のそれぞれの特徴とルールについて説明したいと思います。
当医院は、顕微鏡歯科治療専門の歯科医院です。2010年より、むし歯治療(詰め物・被せ物)、根管治療、歯周病治療、抜歯などの口腔外科手術、定期検診など、全ての治療に歯科用顕微鏡を使用し、治療の成功率を高めてきました。長年、歯科用顕微鏡を使って治療してきた結果、治療成功率の高さ、予後の良さを日々実感しています。皆さんのお悩みを真剣に解決するため、これまで蓄積してきた顕微鏡歯科治療の知識と技術をもって貢献したいと思っています。

全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医
歯科医師岡野 眞
1初めに
日本で受けられる医療には、保険診療と自由診療があります。
国が管轄する健康保険は、検査や治療の進め方、使う薬や材料など、保険のルールによって細かく内容が定められています。予防を目的とした治療は禁止されています。
自由診療は、保険のルールの定められた以外の治療の進め方や使う薬や材料などを使用することができます。予防を目的とした治療が可能です。
根管治療も保険診療と自由診療を選択することができます。
2保険は、ルールの治療
国が管轄する健康保険は、検査・治療方法・薬剤などルールに沿って進めなければいけません。また、国が管轄する健康保険と自由診療を一つの疾病の治療について同時に行う混合診療は認められていません。根管治療も、保険の治療をしながら、自由診療で使う薬剤を使用することにより自由診療の費用を保険と同時に請求することはできません。また、健康保険では一回当たりの治療に時間がかかったとしても、かかった時間に応じての費用の加算ができません。
根管治療が必要になり、健康保険で治療を受ける場合は国が定めたルールに従って治療を進めることになります。
3根管治療は難しい治療
根管とは、象牙 (ぞうげ)質に囲まれている歯髄が通っている管です。
そして、歯髄とは神経や血管などの集合体のことです。つまり、根管とは、歯に栄養を与えている血液や神経が包まれている管です。根管の中の歯髄をとったり、細菌によって汚染された根管を殺菌・消毒したりする治療を根管治療と言います。むし歯で痛みが出たり、根管が細菌感染で汚染され歯根の周りに炎症を起こして膿んでいても根管治療によって再度歯を使うことができるようになる、とても重要な治療です。一たび根管治療が失敗すると手を尽くしても抜歯になってしまうこともあり、根管治療は歯の寿命に直結している治療といっても過言ではありません。
ただ、根管治療は歯科治療の中でも特に難しい治療なのです。根管治療の成否は、根管の中をいかに清潔にできるかにかかっているのですが、根管は大きく湾曲していたり、複雑に枝分かれしていることも多く、根管を隅々まで殺菌消毒するのは困難を極めます。それが元で、根管治療が失敗し膿が治らず抜歯になってしまいます。そして、残念ながら日本における根管治療の成功率は30~50%です。(データはこちら)
4保険の根管治療
日本では、根管治療はまず健康保険で受けられる方が多いと思います。ただ、上記のように根管治療の成功率は低いのです。要は、健康保険の根管治療の成功率が低いということになります。一番の原因は、主要先進国に比べ、根管治療費が異常に低いことです。根管治療は難しいにもかかわらず、それが原因で治療時間を短縮したり、必要な機材を購入できなかったり、成功率を上げる薬剤を使えなかったりします。
5自由診療の根管治療
自由診療は、根管治療においては健康保険の欠点を解消することができます。
まず複雑な根管に対処するための十分な時間を確保でき、治療に必要な機材の使用、治癒率を上げるために必要な薬剤や材料を使えることができます。それにより治療の成功率を大きく上げることができます。
6根管治療は、何度でもやり直せない
健康保険でも、根管治療のやり直しはできるのですが、元々根管治療の成功率は低いので、何度治療し直しても根にできた膿は治るどころか、ますます成功率は下がっていきます。そして、治療をやり直す度に歯は大きく削られペラペラに薄くなり、最後には根に穴が開いたり、根にヒビが入り抜歯せざるをえなくなります。歯の治療は、何度でもやり直しができるものではないのです。
7当医院で行っている根管治療
当医院は自由診療専門の歯科医院です。自由診療専門にしているのは、健康保険のルールから離れ、治療の成功率を上げるためです。
根管治療では、CTスキャン、ハイエンドモデルの治療用顕微鏡(Carl Zeiss Pro ergo)、ラバーダム防湿を必ず使用し、何よりも治療に必要な十分な時間を確保しています。
そして、根管治療後の根管への再感染(コロナルリーケージ)を防ぐために、治療用顕微鏡を使い高精度の被せ物をしています。これらの妥協しない治療方針が、直近の根管治療の成功率に表れています。(成功率のページへ)
歯の治療は、何度もやり直すことができません。抜歯したら二度と歯は生えてきませんので、歯を長持ちさせるよう、的確な歯科治療を受けられることをお勧めします。
8症例紹介:他院で根管治療中に歯茎が腫れてしまった方が、再根管治療で膿が改善したケース
《お悩み》
根管治療をしても、歯茎の腫れが治らないという事で当院に来院された患者さんです。
《症状と臨床所見》
下顎右側の奥歯の歯茎が赤く腫れて歯肉に膿瘍がみられます(photo.1)。レントゲン画像とCT画像を確認すると歯根を取り巻くように歯槽骨の吸収がみられました(photo.2)。以上の所見より根尖性歯周炎が疑われました。また、膿が大きく、歯根破折も考えられるケースです。
《治療》
CT画像にて根管の走行や形態、歯の残存量(歯として使える量が残っているか)をチェックしたのち、ラバーダム防湿の設置を可能にするために隔壁を作成しました。
その後、ラバーダム防湿を行い、治療用顕微鏡を使って再根管治療(非外科的歯内療法)を行いました。顕微鏡下で根管内を確認したところ、歯根破折は認められませんでした。
《治療後》
再根管治療により、患部の歯肉膿瘍が消失。
治療後のCT画像でも根尖病変の透過像の消失と歯槽骨の再生が確認できたので、膿が再発しないよう精密な被せ物をし、治療が完了となりました。
下が治療6ヶ月後のCT画像です(photo.3)。膿の影が消失し歯根の周りの歯槽骨が再生しています。
《主な副作用》
ラバーダム防湿が必要になり、開口時間が長くなります。歯科用顕微鏡による精密根管治療は、肉眼や拡大鏡では見えないところ(治療が不十分であった部分)が見えるようになるため、なすべき治療が増えるので治療時間や治療日数がかかります。
《治療期間》
おおよそ、3〜5日(1回1時間の目算です。)
《治療費》
根管治療費(消費税込み):大臼歯 176,000円 (根管治療費以外に別途、被せ物・土台除去、隔壁作成の費用がかかることがあります。詳細は、お問い合わせください。)
9歯の神経の治療(根管治療)中や被せ物治療後の歯茎の腫れや膿で悩んでいる方の治療メニュー
当院では、何度根管治療をしても歯茎の腫れや膿が治らない方に、以下のように治療を進めていきます。ただし、これは一般的な治療方針です。患者さんの個々の状況により、治療内容に多少の差異が生じます。
膿で悩んでいる方は、一度、お電話でお問合せいただくことをオススメいたします。
STEP.1
初回カウンセリング
問診でお口の問題をヒアリング初診当日はカウンセリングとなります。
① 問診表の記入
② マイクロスコープ検査、レントゲン・CT撮影と診断
③ 治療計画および治療内容のご説明
※治療期間、費用等、患者さんと相談の上、治療方針を決定いたします。その後、次回の治療予約となります。
STEP.2
隔壁作成
まずは、隔壁を作成します。隔壁とは、唾液から根管への細菌感染を防ぐためと、根管治療で次亜塩素酸ナトリウムなどの適切な薬剤を安全に使えるようにするためのラバーダム防湿を行う為に作成する「壁」の事です。大きく歯が欠損していても隔壁を作ることでラバーダム防湿ができるようになり、この先の治療が安全に確実に行えるようになります。なお、「隔壁作成」前に、被せ物・詰め物・土台・裏層の除去が必要なことがあります。
STEP.3
根管治療開始
ここから根管治療の開始となります。1回の治療時間は、約60分ほどです。治療回数は、治療する歯の根管の数や根管の複雑さによって変わります。(治療回数はおおよそ1~5回位です)
根管治療時は、毎回、ラバーダム防湿を設置します。そして、CT画像を確認しながら治療用顕微鏡下で根管の清掃・殺菌・消毒・根管充填を精密に行います。
STEP.4
支台築造・仮歯作成
根管治療が完了した後は、土台作成(支台築造)を行っていきます。当院では、土台作成時にもラバーダム防湿を行います。また、必要に応じて更に仮歯を作成し、経過観察に入ります。
STEP.5
治療判定
当医院では通常、根管治療終了後6ヶ月後に患部のCT撮影を行い、治療効果を判定します。
根尖病変(根の先の膿)の改善がみられた場合は、被せ物治療に移っていきます。被せ物治療は、むし歯が再発し根管に再感染しないよう、治療用顕微鏡を使って精密に行います。
根尖病変の改善が見られない場合は、患者さんと相談後、外科的歯内療法、歯根の部分抜歯などを予定します。
10当医院ではセカンド・オピニオンも行っています
CHECK
他院で治療中であっても可能です
- 根管治療をやり直しているが、膿んで歯茎が腫れてきてしまう。
- 根管治療しても膿や歯茎の腫れや消えないので抜歯と言われた・・・
- 痛みが無いのに膿が何故か消えない・・・
という方は、お気軽にご相談ください。
当院は自由診療となっております。以下に治療費を掲載いたします。
※各種クレジットカードでお支払いいただけます。
カウンセリング料金 ¥11,000
・顕微鏡による、むし歯・歯周病検査など
・レントゲン撮影
CT撮影料金 ¥11,000
通常、CT撮影は別途 33,000円がかかりますが、初回のみ11,000円で撮影します。

全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医
根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞