2018

3/25

コンポジットレジン充填 5つのメリットと知っておきたい注意点

記事概要

コンポジットレジンってご存知ですか?多くの患者さんが受けた事のある樹脂(プラスチック)を使って詰め物をする歯科治療法です。まずは、コンポジットレジン充填の治療方法と5つのメリットをご説明し、治療時に注意が必要なポイントについてご紹介します。

コンポジットレジンって何?

むし歯治療の中でも、非常にポピュラーな治療法にコンポジットレジン充填という治療法があります。コンポジットレジン充填とは、樹脂(プラスチック)を使って詰め物をする歯科治療法で、歯にダイレクトに接着材で樹脂を詰める治療法です。
現在、コンポジットレジン充填は、無くてはならないむし歯の治療法となっています。多くの患者さんが受けた事のある治療の一つだと思います。

コンポジットレジン充填は、非常に小さい詰め物から、被せ物(クラウン)くらい大きな詰め物まで対応することができ、とても融通のきく治療法なのです。

それではまず、コンポジットレジン充填の治療のメリットについて、次に、治療時に注意が必要なポイントについてお話したいと思います。

メリット1:隙間なくピッタリ詰めることができる

コンポジットレジン充填は、上手く詰めれば、型とりの詰め物や被せ物に比べて、最も隙間なくピッタリと詰めることのできるむし歯の治療方法です。

上記で、『上手く詰めれば』と書いたのには、深い訳があります。この訳については、後半の「コンポジットレジン充填時の注意点」に解説を書いていますのでお読み下さい。

以前のブログ記事でも、詰め物や被せ物でむし歯になるリスクが高まるhttps://www.okano-do.com/column/yobou3.html)、と書きました。歯と詰め物との繋ぎ目が上手くフィットしていないと、そこには、むし歯菌が溜まりやすく、高頻度でむし歯が再発します。なので、コンポジットレジン充填も、歯と詰め物に隙間なくピッタリ詰めることが繋ぎ目からのむし歯の再発を抑えるためには必要なのです。コンポジットレジン充填の接着材は、型とりをして作る詰め物や被せ物を歯に着けるセメントより厚みが薄いので、歯に隙間なく、また、はみ出さないようピッタリ詰めることができれば、歯の修復治療の中で一番繋ぎ目にむし歯菌が溜まりにくい状態を作ることができます。

メリット2:健全な歯の部分を多く残すことができる

型とりを必要とする歯の詰め物は、健全な歯の部分を多く削らなければいけないことが多く、それに対して、コンポジットレジン充填は、ほぼ、むし歯の部分のみの削除で治療が完結することが多いです。それにより、健全な歯の部分を多く残すことができるのです。

但し、むし歯の削除にも注意すべき点があります。
お口の中は暗く見えづらいので、健全な部分をできるだけ残そうとすると、一緒にむし歯を取り残す可能性も上がります。歯科用顕微鏡などを用いて、患部を明るく照らし、拡大視しながらむし歯を除去することで、むし歯の取り残しを減少させることが可能です。

メリット3:通常、1回の治療で詰め終わる

型とりが必要な詰め物は、最低でも《型とり・完成》と2回の治療回数が必要ですが、コンポジットレジン充填は、通常1回で詰め終わります。

但し、むし歯の大きさや咬み合わせによってはコンポジットレジン充填が適さないことがありますので注意が必要です。ケースバイケースでコンポジットレジン充填にするか、他の歯の修復方法にするか選択します。

メリット4:詰め物が目立たない

コンポジットレジンは、詰め物が歯の色に近い色をしています。

金属による詰め物と違って、詰め物を目立たなくすることができます。また、歯や歯肉に金属の色が沈着することもありません。

メリット5:金属アレルギーを起こさない

コンポジットレジンは、有機質(レジン)と無機質(ガラス)から成る複合材料なので、金属アレルギーを起こしません。

昨今、お口の中に入れた金属製の詰め物や被せ物によるアレルギー問題がニュースなどで多く取り上げられるようになりましたので、気になる方も多いと思います。

現在のコンポジットレジンは耐摩耗性が昔に比べて大きく向上し、また接着材の接着力も向上していますので、咬合力が強くかかる奥歯にも広く用いられるようになってきています。

コンポジットレジン充填時の注意点

これまで、コンポジットレジン充填のメリットを5つのポイントにまとめてきました。それではここからは、顕微鏡歯科治療の利点を含め、コンポジットレジン充填時の注意点をまとめたいと思います。

実は、コンポジットレジン充填は、術者(歯科医師)の治療技術の差がタイトに出てしまう治療です。

例えば、型とりをして作る詰め物・被せ物治療の場合、詰め物・被せ物の精度は、歯科技工士がカバーすることが可能ですが、コンポジットレジン充填は、すべての治療行程を術者である歯科医師がおこなうので、治療の得手・不得手が、そのまま出てしまいます。

コンポジットレジンは、粘土細工のように自由に形を作ることのできる充填材料で、見た目も白く、詰め物のイメージは良いですが、術者(歯科医師)から見ると、結果がタイトに出てしまう非常にシビアな治療だと考えています。

もちろん、ただ充填するだけなら、上手いも下手も無いのですが、コンポジットレジン充填された歯が長期に渡って良い状態を維持するためには、術者(歯科医師)の技量が影響してしまう詰め物なのです。

コンポジットレジン充填の予後(長持ち)に影響するポイント

それでは、コンポジットレジン充填の“長持ち“に影響するポイントをまとめます。
やはり、予後に一番影響するのは、歯とコンポジットレジンと繋ぎ目の適合と接着です。
適合性が良ければ良いほど、予後が良くなります。(詰め物の適合についてはこちらのページをご覧ください

コンポジットレジンは、見た目も白く、目立たない充填材として、また歴史のある材料なので、一見、良さそうに見えますが、実は材料的には解決されていない特性があります。コンポジットレジンは、固まる(重合)時に2%程収縮します。その収縮が原因で歯とコンポジットレジンとの間に隙間を作ることがあるのです。隙間ができれば、そこにはむし歯菌が入り込み、むし歯が再発してしまう可能性が高くなります。

この収縮の欠点を克服するために、当院では、コンポジットレジンを一気に詰めずに、数回に分けて詰め、収縮の影響を最小限にするようにしています。時間はややかかりますが、収縮による隙間ができないようにするためには必要な事と考えています。詰め物治療がむし歯の悪化の原因にならないよう、手間暇を惜しまない事がコンポジットレジン充填を成功させる秘訣です。

また、歯とコンポジットレジンとの繋ぎ目の精度(適合性)についても解説しておきます。
適合性は、金属のクラウン(被せ物)やインレー(詰め物)と同じように、コンポジットレジンもプラークの溜まりやすさに影響を与えます。

コンポジットレジン充填は、むし歯を除去したその場で直接詰め物をしなければいけないので、(特に隣接面を含む場合)その難易度が上がります。隣接面の歯肉側の繋ぎ目がピッタリ合わせづらく、また唾液や出血、歯肉からの滲出液で接着が上手くいかずに隙間ができて、そこからむし歯が再発しやすいのです。

コンポジットレジン充填は、非常にポピュラーなむし歯治療ではありますが、精度にこだわった治療をしないと、むし歯の再発を防ぐことはできない治療法なのです。

コンポジットレジン充填後のむし歯再発を防ぐために

コンポジットレジン充填は、保険内診療で対応できるむし歯治療です。
そのため、古くから導入され、日々気軽に詰められています。

しかし、その影でむし歯の再発が後を絶ちません。

そしてそれは、術者(歯科医師)の充填のテクニックに大きな影響をうけます。

むし歯の再発を防ぐ方法としては、コンポジットレジンと歯との適合性を上げ、確実な接着をする事に集約されます。

そのためには、顕微鏡で高倍率に患部を拡大視することが必要なのです。コンポジットレジン充填が歯とピッタリ合えば合うほど、プラークは溜まりにくくなりますから、肉眼よりルーペ、ルーペより歯科用顕微鏡の方がピッタリ適合させやすく、清掃性が上がります。

また、レジンと歯との確実な接着も重要です。

接着が上手くいかず、隙間ができないようにするため(クラウンやインレーも同じですが)私が重要視しているのは、歯とコンポジットレジンの接合部に残存するプラークです。特に、レジン充填は詰め物がはみ出しやすく、そこにプラークが残存していると、上手く接着せずに細菌が入り込む隙間ができてしまいます。

まずは、充填前に歯とコンポジットレジン接合部に残っているプラークを隅々まで歯科用顕微鏡で見ながら確実に除去し、歯科用顕微鏡で高倍率で拡大視しながらはみ出さないようにコンポジットレジンを詰め、それでもプラークの上にのっているコンポジットレジン部分は顕微鏡下で除去し、確実な接着ができるようにします。特に、隣接面の詰め物は接合部に歯肉からの血液や浸出液が入りやすく、それが接着阻害になるので、更に注意をしていきます。

気軽に詰められるコンポジットレジン充填ですが、実は丁寧な治療をしないと逆に怖い充填物です。むし歯の再発を繰り返せば、どんどん歯がなくなっていきます。それを止めるためにも確実なレジン充填をしなければならないと、肝に命じながら日々臨床にあたっています。