岡野歯科医院
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役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

役立つ歯のコラム

“歯「磨き」”は、もうやめましょう。

記事概要

「歯磨き」という言葉は、歯を研磨するというイメージは無いでしょうか?もしも、研磨する事で、むし歯や歯周病の予防ができると考えているのであれば、それは間違いです。大事なのは、むし歯や歯周病の予防のために歯垢を落とすこと。研磨では歯垢が落ちるどころか、大事な歯まで削れてしまう可能性があります。もう、歯を『磨く』ことをやめて、虫歯や歯周病予防できるブラッシングに変えましょう。

1“歯「磨き」”は何をしているの?

皆さんは、歯磨きは何をしているか知っていますか?
改めて、歯磨きは『何をしているのか?』と聞かれると、少し困るのではないでしょうか?それをわからずに日々歯磨きしている人が多いのではないかと思います。

例えば、子供の頃から言われてきた事、むし歯になるから、または、歯槽膿漏になるから、しなさい、しなければならないと、漠然とした理由で、1日に何度も歯磨きをしているのです。

そもそも、歯磨きは『何をしているのか』を知っていれば、むし歯や歯槽膿漏(歯周病)の予防の確率を少しでも上げることができるのではないのでしょうか。

俗に言われている「歯磨き」は、むし歯や歯周病の原因である歯垢(細菌の塊)を落とすことが目的です。

むし歯や歯周病の原因菌が減れば、むし歯や歯周病を未然に防ぐことができます。

しかし、ここで大事な事が抜け落ちてしまいます。むし歯や歯周病の原因菌を減らすためには、歯垢が歯磨きの度に歯から落とされていなければなりません。

ただ漠然と、毎日歯磨きをしていれば歯垢が落ちているとは限りませんので注意が必要です。皆さんは、きちんと歯垢を落とすためのブラッシングができているでしょうか?

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毎日歯磨きをしていれば歯垢が落ちているとは限りません

2磨く(研磨?!する)ことが歯垢を落としているという錯覚

また、勘違いされているポイントがあります。歯磨き粉による研磨です。

「歯磨き」という言葉は、歯を研磨するというイメージは無いでしょうか?

研磨する事で、むし歯や歯周病の予防ができると考えているのであれば、それは間違いです。大事なのは、むし歯や歯周病の予防のために歯垢を落とすことです。研磨では歯垢が落ちるどころか、大事な歯まで削れてしまう可能性があります。歯磨きは、歯を研磨する為にしていることではありません。

つまり、むし歯や歯垢の原因菌がいる歯垢を落とすために歯磨きをしている、という事が理解できていれば、歯磨きでは落ちていな場所や落とし方を体得することの方が重要だという事に気づくはずです。まずは、歯磨きは歯垢を落とすための行為で、歯を研磨する行為ではないという事を理解することから始めましょう。

もしも今、みなさんが、むし歯や歯周病が上手く予防できてないとすれば、今やっている予防法自体が間違っているという事です。それは、日々の歯磨きや歯科医院でのクリーニングに対しての認識を改めなければいけないのです。歯を磨いても(研磨)、むし歯や歯周病は予防できません。

歯を研磨するのではなく、きちんと歯垢を落とすことが、むし歯や歯周病を予防することに繋がるのです。

よって、落ちていない歯垢を落とすには、どういう道具を使うべきか、どういう当て方をすれば落ちるのか、それを練習すべきなのです。

このように、歯磨きという言葉には惑わされてしまいがちです。磨くといったイメージから誤った歯磨きで歯を大きく削ってしまう方も多いのです。

特に、歯肉が後退している場合は注意が必要です。歯肉が後退してくると象牙質が露出します。象牙質は削れやすいので、研磨剤で日々少しずつ削れていきます。気が付いたら、いつのまにか歯の根元が大きく抉れていることを経験している方も多いと思います。

歯の健全な状態を保つために歯ブラシをかけているのに、逆に歯ブラシで歯を痛めてしまっては本末転倒です。

では、正しい歯ブラシのかけ方はどのようなものなのでしょうか。
ここからは、歯磨きという言葉を使わないこととします。【ブラッシング】と呼びます。このブラッシングのお話を始めようとすると、必ず道具のことを最初に聞いてくる方が多いのですが、実は道具よりも、それを使いこなすテクニックの方が大事なのです。
ブラッシングをする上で、ブラシやフロスの当て方、動かし方が重要です。ここからはそのポイントについてお話をしていきます。

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ブラシやフロスの当て方、動かし方が重要

3ポイント① 基本的に歯磨き粉は必要ない

まずは、歯磨き粉についてです。
歯磨き粉は全く付けないか、最小限にする必要があります。

歯磨き粉は数日に一回でも良いでしょう。

なぜなら、歯磨き粉の中には研磨剤が含まれているものがあり、これらは歯に沈着したタバコのヤニやお茶の茶渋、食べ物の色素などを落としますが、それと同時に歯も削れていきます。

また、歯磨き粉に入っているミントの成分によってスッキリした感覚を味わえるので、全く歯垢が落ちていなくても、落ちた気になってしまう事も問題です。ブラシの毛が歯垢に確実に当たっていないと、歯垢が落ちないので、気をつけて下さい。

4ポイント② 歯ブラシは大きく動かさない

歯垢は、歯ブラシなどの清掃器具を物理的にあてることによって落ちていきます。そのためには、確実に清掃器具が歯垢にあたることが重要です。

歯垢を落とすブラッシングには様々なテクニックがありますが、基本的に歯ブラシは大きく動かさない方法をお勧めします。

お口の中の状況はおひとりお一人で違います。

乳歯から永久歯に換わったり、歯並びも変化します。状況に合わせて歯垢を落としていかなければならないのですが、歯ブラシを大きく動かすと狙いが定まらずに、歯ブラシの毛が歯垢に当たっていなかったり、歯垢の溜まり場である歯と歯の間や、歯にある凹みをブラシの毛が飛び越えてしまったり、死肉を傷つけて歯肉退縮の原因になったりするからです。できるだけ小さく小刻みに動かして、ブラシの毛先を凹みに入れます。
ブラッシング時に力を入れれば入れるほど、ゴシゴシ大きく動かせば動かすほど歯垢が落ちるとは思わないでください。

5ポイント③ デンタルフロスか歯間ブラシを用いる

歯ブラシが届かない部分は、デンタルフロスや歯間ブラシを用いて歯垢を落とします。

歯ブラシは、歯と歯の間にはブラシの毛が入りません。上手く歯垢が落ちていない、とお話すると、さらに力を入れてブラッシングする方が多いのですが、力を入れると逆に歯ブラシの毛は歯と歯の間を飛び越えてしまいます。

ブラシの毛が当たっていなければ歯垢は残りますので、歯と歯の間は歯ブラシとは別の清掃器具が必要となります。

歯間ブラシとデンタルフロスは、歯と歯の間を清掃する専用の器具ですので、歯ブラシで落とせなかった歯垢を効率良く落としてくれます。成長や年齢、歯が抜けたり生えたり、歯並びなどによって歯と歯の間の清掃方法は変わってきますので、自己流ではなく歯科医に適切な指導を受けていただきたいと思います。誤った方法で清掃をすると、場合によっては歯と歯の間の歯肉退縮を加速してしまう恐れがあります。

また、むし歯は生活習慣も重要です。

歯垢は、ブラッシングで落ちているとは限らないので、落ちていないことも前提で考えなければなりません。

むし歯は、再石灰化(唾液による歯の構成成分の補填・修復)と脱灰(細菌の酸による歯の構成成分の溶出)のバランスで必ずできます。再石灰化が脱灰よりも優勢になればむし歯ができませんし、脱灰が再石灰化よりも優勢ならば、むし歯が進行します。つまり、むし歯の予防は再石灰化が優勢になる事を心がければよいのです。

再石灰化を優勢にするためには食間をあけ、再石灰化の時間を長く摂るようにします。そうすれば、むし歯の進行を抑えやすくします。

下記の図は、むし歯の発症メカニズムを説明するのに良く使われるグラフです。ステファンカーブと言います。

ステファンカーブ

飲食すると、むし歯菌が酸を出し、プラーク(歯垢)が酸性になっていきます。酸性が進んで臨界pHを超えると、歯が溶け始めます。この現象を「脱灰」と言います。時間と共に、唾液により酸は中和され、中性に戻っていきます。中性に戻ってくると唾液により歯の表面の修復が更に起こります。この現象を「再石灰化」と言います。これら、「脱灰」と「再石灰」のバランスでむし歯ができることを踏まえて、下の図を見ていただきたいと思います。

むし歯になりにくい

上の図は、むし歯になりにくい理想的な生活習慣を現しています。飲食が規則正しく食間をあける事により再石灰化の時間が十分とれています。

それに対して下図はむし歯になりやすい生活習慣を現しています。

むし歯になりやすい

飲食の回数が多く、食間をあけられていないと、再石灰化より脱灰の方が優勢になってしまいます。特に就寝前の飲食は厳禁なのが分かると思います。

このように、生活習慣に気を付けることで、むし歯のリスクを減らすことができることを覚えていただきたいのです。理論的に理解できれば、納得して実行できると思います。

6まとめ

人によって歯並びや生活習慣、口腔内のどの程度最近が棲みついているのか等、口腔環境は様々です。したがって、それを踏まえたうえでブラッシングの方法を選択しなければなりません。清掃道具や流行の歯磨き粉を揃えても、歯垢は落ちません。

信頼できる歯科医に相談をし、指導を受けられることをお勧めします。

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根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞

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