岡野歯科医院
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歯がしみる!実は深刻な問題がある?! 考えられる5つの原因と対処法

歯がしみる!実は深刻な問題がある?! 考えられる5つの原因と対処法

記事概要

歯に水がしみる事ってありませんか?実は深刻な問題が起きているサインの可能性もあり、何が原因で、今神経がどういう状況なのかを正確に判断しなければなりません。考えられる5つの原因と対処法について説明します。

1はじめに

本ブログは、患者さんから寄せられたお悩みへの回答を中心に、皆さんにぜひ知っていただきたい大切なお話を、できるだけ分かりやすくまとめて記事にしています。
今回は、患者さんからのお悩みではなく、よくある歯科治療の現場の問題を例に、特に知っていただきたい事実を説明いたします。

今回のブログは、特に冬場になり水が冷たい季節になると気になる知覚過敏の話です。『ウッ、水がしみる!何だろう?!』と感じることありませんか?とても気になりますよね。特に水が冷たくなってくると感じる方が増えると思います。水がしみるのは、歯の神経が感じているのですが、いくつかの原因が考えられます。重篤な問題がひそんでいる場合もありますので、知っていただければと思います。

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2みなさんは、水がしみる事がありませんか?

子供の頃、冷たいアイスキャンディーをガリガリ噛んで食べてもなんともなかったのに、大人になるにつれ、冷たいものが歯にしみたりして、思い切り冷たいものを食べられなくなっている方はいらっしゃいませんでしょうか?

健康な歯は冷たいものを食べても、あまりしみたりはしません。

水がしみるのは歯の神経からの何らかのサインです。

そして、そのサインは、深刻なケースと深刻でないケースがあります。

つまり、何が原因で、今神経がどういう状況なのかを正確に判断しなければならないのです。ここを間違えるといつまで経っても正しい治療ができません。

意外にも多いケースが、神経を残したまま被せ物や詰め物をした後に水がしみてしまうケースです。

治したばかりなのに、治療後にしみるのでビックリします。

当然、治療した歯科医師への不信感にもつながりますね。

金属の詰め物や被せ物が歯に入ると、金属は熱の良導体なので、しみが一時的に起こる事があります。神経が正常であれば、そのしみは時間とともに消えていきます。

しかし、詰め物や被せ物が金属でなくても水がしみるのが残ってしまう、もしくはひどくなってしまう事があります。

神経がある歯に詰め物や被せ物をした場合、噛み合わせの調整が不十分だと水がしみる事があります。最悪なのは、詰め物や被せ物の下にむし歯の取り残しがあったり、治療でむし歯は歯から除去できていても、既にバイ菌は歯の神経に感染していて詰めたり被せたりした後に、歯髄炎を起こしてしみが出るケースです。そうすると、被せた後に歯の神経をとらなければいけなくなることもあります。

原因や状況によって対処が変わってきますので。診断が重要となってきます。

それでは、冷たいものが歯にしみる主な原因と対処法について、5つのポイントをあげて説明してみたいと思います。

3サイン1:むし歯が重篤化している

むし歯が重症化すると、むし歯の穴からバイ菌が歯の神経に入り込み炎症を起こします。これを歯髄炎と言います。歯髄炎(歯の神経の炎症)を起こすと水がしみやすくなります。

よって、むし歯で水がしみるのは、かなりむし歯が重症な状態です。つまり、むし歯が進行して、むし歯菌が歯の深くまで入り込み、歯の神経に感染し神経が炎症を起こし始めているのです。

こうなると、歯の神経の治療が必要になります。

歯の神経は残せるのならば、残した方が良いので、水がしみる程度であるならば、まずは神経を残す努力をします。

痛みがひどくなければ、すぐに神経を取ることはおすすめしない事が多いです。なぜなら、根管治療(歯の神経の治療)は成功率が100%ではありませんし、歯の神経を取ることにより歯が弱くなって歯根破折を起こす確率が上がってしまうからです。

これらはいずれも、抜歯につながってしまいます。

重症なむし歯で歯の神経を残す場合、まずは、唾液からの感染をなくす目的でラバーダム防湿をするためにコンポジットレジンで隔壁を作ります。ラバーダム防湿をしたのちに、むし歯を染め出し液で何回も染めながら除去します。もちろん、むし歯の取り残しが無いように歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)下でむし歯を完全に除去します。

むし歯を完全に除去し、これ以上感染しない環境を作ることで、神経の炎症が落ち着くように誘導するのです。

その後、しみなくなるようであれば、そのまま被せ物か詰め物をします。

しかし、これらの処置をしても症状が悪化するような状態であれば、炎症を起こしている歯の神経をとり、痛みを改善させます。

安易に神経を取る根管治療を選択するのではなく、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)下で丁寧にむし歯を取り除き、ラバーダム防湿を行い清潔な環境で治療することで、まずは歯の神経を残す努力をすることをお勧めします。

4サイン2:歯周病の炎症

歯周病が原因で水がしみる事があります。

歯周病により歯肉が炎症を起こし、歯槽骨の吸収を惹起して歯肉が下がってしまうと、象牙質が露出してしまいます。これらにより水がしみやすくなってしまいます。

象牙質はエナメル質と違い、象牙細管という歯の神経につながる細い管があり、水の刺激を神経に伝えてしまうからです(象牙質知覚過敏症)。

この対策としては、歯周病をこれ以上進行させないことです。

それ以上歯肉が後退しないように、歯周病の治療を行います。歯周病の治療が成功するとしみが止まりやすいです。

しかし、歯周病に早い段階で気がつかずに放置してしまうと、歯周病が重症化してしまい、歯槽骨が歯の根の先端まで吸収してしまいます。

こうなると上行性歯髄炎という歯髄炎を起こします。歯の根の先端付近からの歯の中に入る血管や神経の通り道から細菌が歯髄に感染し、歯髄炎を起こして水がしみます。

ここまでくると、歯周病がかなり重症化している状態です。どうしても治療で助けられない場合には、抜歯になってしまいます。しかし、たとえ重症であっても、治療できそうなら炎症を起こしている歯の神経をとって(根管治療)歯周病の治療を行い、歯を残します。

歯周病は、初期の段階では自覚症状がほとんど無く、静かに進行していき、重症化すると治療では助けられず、抜歯に直結してしまう疾患です。自分では気がつきにくいだけに、できるだけ早期の段階で歯科医院で見つけてもらい歯周病の改善を図るのが良いでしょう。

5サイン3:ブラッシングによるもの

歯磨きの時、あまりにもブラッシングが強すぎると、歯肉が傷つき歯肉が後退してしまうことがあります。

歯肉が後退してしまうと、象牙質が露出します。そのため、水がしみたりします(象牙質知覚過敏症)。

水の刺激だけでなく、露出した象牙質を歯ブラシで擦っても痛みを感じることがあります。

象牙質から伝わった温度の刺激や象牙質の表面を擦られた刺激は、痛みとして歯の神経は感じてしまいます。

但し、露出した象牙質の上に歯垢が残っていても、むし歯菌が出す酸で象牙質の表面が溶かされてしまうので、象牙細管が開口ししみやすくなることが考えられます。

ですので、歯肉が落ちて露出した象牙質の上に歯垢が残るのもいけません。

歯並びや歯の形など、人それぞれで違い、きちんと歯垢を落とすのは難しいので、歯科医院で正しいブラッシング指導を受けることが重要です。

自己流のブラッシングでは、歯や歯肉を傷つけて逆にダメージを与えることもあります。歯を綺麗にするために行っている歯磨きが、逆効果を及ぼしてしまうようでは本末転倒です。

むし歯や歯周病予防は、何よりホームケアが重要になりますので、きちんと歯磨き指導をしてくれる歯科医院にかかることをお勧めします。

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6サイン4:歯ぎしりによるもの

以外に知られていないのが、歯ぎしりによる影響です。

歯ぎしりは歯肉に負担を与えます。

この負担が伝わることで(咬合性外傷)、歯周病が進んで歯肉が後退して象牙質が露出したりします。また、歯の噛む面が磨耗しエナメル質が無くなり、噛む面に象牙質が露出して水がしみる事があります。

これらもやはり、知覚を痛みとして伝えてしまう象牙質が露出したことによって起こります。

この対策は、歯ぎしり防止としてマウスピースを使用したり、噛み合わせを削ることにより、歯にかかる負担を減らしたり、噛む面の象牙質が露出してきている場合には、被せ物(クラウン)で噛む面を覆うこともあります。

7サイン5:歯のヒビ(亀裂)や強い歯ぎしりや外傷により歯に亀裂が入ったことによるもの

歯の神経(歯髄)がある歯では、歯冠破折や歯根破折の亀裂が歯の深くまで入ってしまい、そこから細菌が歯髄に感染して歯髄炎を起こし、しみが出る事があります。

歯冠破折の場合は、被せ物(クラウン)をすることで、亀裂を周りから押さえ、破折がそれ以上拡がらないようにして経過を観ますが、しみが強い場合は歯髄炎が悪化している状態ですので、歯の神経を取って(抜髄)、クラウンで亀裂をおさえます。必要に応じて、歯ぎしり対策のマウスピースを入れて歯にかかる力を低減させます。

亀裂が歯の根までいっている(歯根破折)場合には抜歯となりますが、歯の根のヒビは肉眼では見えづらいことも多く、治療用顕微鏡で拡大視して初めて根にヒビが確認できることもあります。

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8まとめ

水がしみるのは色々な原因があり、深刻出ないことも多いですが、早く対処すれば歯の神経を残せたり、歯を抜歯しないですむこともあります。

念のために信頼できる歯科医院で診断してもらうことをお勧めします。

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