岡野歯科医院
根管治療・マイクロスコープ【武蔵小杉駅徒歩1分】完全予約制・自由診療TEL.044-711-8241
役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

役立つ歯のコラム

50〜70%の確率で『失敗』する根管治療を変えたい

記事概要

歯ぐきから膿が出てきたので歯科医院に行くと、被せ物を取って根の治療が必要と言われ、被せ物をとらずに治療したいのですが...。このお悩みの方の膿が溜まっている状態がどんなものかを解説。そして、50〜70%の確率で失敗するという根管治療の成功率をあげる当院の治療方法をご紹介します。以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと、この度「お悩み」と「お悩み解決」を追加いたしました。

1先日寄せられた、40代男性のお悩み

『歯ぐきから膿が出てきました。歯ぐきを触ると膿が出てきたので、かかりつけの歯科医院に行くと被せ物を取り、根の治療が必要と言われました。被せ物をとらずに、膿を歯ぐきから押し出すこと等はできないのでしょうか?』
(一般:男性:40代)

本ブログは、できるだけ皆さんの切実なお悩みに真摯にお答えし、できるだけ正しい歯科治療を知っていただくための情報ブログです。

ここでは、皆さんから頂戴する歯に関する不安やお悩みで、特に多いものをピックアップし、分かりやすくご説明することを目的としています。歯医者さんの治療とは、皆が知っているようで、実は正しく知られていないのが現状です。

普段から、疑問に思っている事をつまびらかに情報を開示し、皆さんのお悩み解決の糸口になることを第一に考え、日々、ブログを書き綴っています。

Photo.お悩み
お悩み

被せ物をとらずに、膿を歯ぐきから押し出すこと等はできないのでしょうか?

2『膿』とは、細菌と白血球が闘っている状態

歯ぐきに膿が溜まっている状態というのは、とても辛い状況だと思います。
膿がたまってしまうと、口臭なども気になるでしょうし、ついつい絞って出し切ってしまいたくなるのではないでしょうか?

このお悩みに回答する前に、まずは、歯ぐきに膿が溜まっている状態というのは、どういう状態であるかを知っていただく必要があります。

歯ぐきのみならず、身体のどこかで膿が溜まるという状況は、細菌と白血球が闘っている状態です。つまり、炎症による生体反応であることをご理解頂く必要があります。

それが歯ぐきで生じているということは、歯ぐきの中で『細菌と白血球が闘っている』状況にあるということです。では、どういう状態なのかを、さらに具体的に解説していきます。

お話から推察すると、歯ぐきの中に膿が溜まっている主な原因が4つ考えられます。

一つ目は、歯の神経が死んで腐敗している。
二つ目は、過去に受けた根管治療(歯の神経の治療)が不完全。
三つ目は、歯周病が重症な段階に入っている。
四つ目は、歯根破折(歯の根にヒビが入っっている)

です。

上に挙げた、三つ目と四つ目の原因は抜歯になる可能性が高いです。
ですので、歯を残せる可能性が高い、一つ目と二つ目の原因に的を絞ってお話したいと思います。

これらはいずれも、根管(歯の神経の通り道)に細菌が感染し、歯の根の周りに膿が溜まっている状態です。
2つの原因の違いは、すでに歯の神経の治療をしている歯であるか、そうでは無いかの違いです。

3根管治療の再治療の可能性

それでは、このような状態にある場合、『具体的にどう治療するか?』について解説していきたいと思います。

もちろん、このお悩みを抱えている方がおっしゃるように、根の周りに溜まっている膿をとる手術もあります。
しかし、まずは手術をせずに根管治療(歯の神経の治療)により、膿を改善する方法を選ぶのが第一選択でしょう。

膿を歯茎から押し出したとしても根管内部が徹底的に殺菌されていないとまた膿んでくるからです。

これは、すでに根管治療をしている歯も同じです。すでに根管治療をしている歯であれば、被せ物を外して「再治療」をする事になります。

根管治療とは、根管の中の神経組織を綺麗に除去し、根管内にいる細菌を殺菌・消毒する治療です。
この根管治療を『きちんと行うことで』、根管に細菌が感染してできた歯ぐきの膿の7割が根管治療で消失すると言われています。
実は、ここで私が『きちんと行うことで』と付け加えたのには理由があります。

なぜなら、日本における根管治療は、再治療が実に多いからです。

日本の根管治療の失敗率は、50〜70%であるというデータがあります。逆をかえせば成功率は30〜50%。実に驚きの数値ですが、残念ながら現実です。(※データの根拠はこちら
それに対しアメリカでの根管治療の成功率は90〜95%です。根管治療とは、非常に精密な技術を必要とする治療です。

日本の歯科治療が如何に、根管治療の精度を追求・改善してこなかったかが如実に分かります。
このお悩みをお持ちの方も、すでに根管治療済みの歯に膿が溜まっているようであれば、この根管治療の再治療にあたります。きちんとした根管治療を行わなければ、何度でも再治療が必要になります。

このことを、一般の方々に知ってもらいたいと切実に思っています。

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4成功率をあげる根管治療に欠かせない方法

まず、根管治療を成功させるため(再治療率を下げる)には、以下の4つの方法をとる必要があることを知っていただきたいです。

  • 唾液から細菌を根管に入れ込まないよう、ラバーダム防湿をして根管治療を行うこと
  • CTによる根管の三次元的な解析をすること
  • 根管内を拡大視できる治療用顕微鏡を使用すること
  • 治療に必要な時間を十分とること

逆に言えば、上記の4条件を満たす治療でなければ、何度でも再治療になる可能性もあります。何度も何度も、膿が溜まってしまう方は、これまでの根管治療の方法では不足かもしれません。

ただし、根管治療も一筋縄ではいきません。

根管は枝分かれしていたり曲がっていたりと複雑なことも多いのです。
よって、根管を確実に殺菌・消毒するのは困難を極めます。

下記に、具体的な当院での治療法を説明したいと思います。

5成功率をあげる当院での根管治療

ラバーダム防湿



ラバーダム防湿

ラバーダム除湿とは、根管治療時に唾液と一緒に歯に細菌が根管に入り込むことを防ぐ処置です。
これを行わないと根管治療が失敗します。ラバーダム防湿をすることにより唾液が根管内に流れ込むことを防ぎ、根管への細菌感染を防ぎます。

Photo.ラバーダム防湿


ラバーダム防湿



ゴムのシートに歯を通します

② 滅菌された機材を使う

たとえ、ラバーダム防湿を行っても、清潔な機材を使わなければ、逆に根管を汚染しかねません。すべての医療器具を滅菌し、毎回、個々の患者さん専用の器具で治療を行います。

Photo.滅菌された機材を使う
滅菌された機材を使う

滅菌バッグに入れて保管しています。

③ 根管治療に最適なマイクロスコープを使う

根管は別れたり、吻合したり、曲がったり、肉眼では見えないくらい細くなっていたり、塞がっていたりしている事も多く、根管は肉眼で見ると真っ暗で根管の中がどうなっているかがわかりません。
肉眼はもちろんのこと、拡大鏡をつけても、ほとんど見えていないと言えるでしょう。実際に、かつての私もそうでした。それを痛感したからこそ、今はマイクロスコープでの根管治療を徹底しています。

マイクロスコープは、肉眼の30倍まで患部を拡大でき、また明かりの入りにくい細い根管の中を明るく照らすための特殊な光源(同軸光源)が付いているので、暗く細い根管の中をハッキリ見ることができます。また、当医院のマイクロスコープの光源は根管治療に最適なキセノンランプを使っています。根管治療にはマイクロスコープが必要です。

Photo.根管治療に最適なマイクロスコープを使う
根管治療に最適なマイクロスコープを使う

治療用顕微鏡

④ 歯科用CTを使う

CTによる画像診断では、様々な角度から根管の状況を観ることができます。歯の根の中で根管が、どのように曲がっているか、分かれているかなどを、予測し診断しながら根管治療を進める事ができ、根管の見落としなどが減って根管治療の成功率を上げる事ができます。

Photo.歯科用CTを使う
歯科用CTを使う

歯科用CT

⑤ 最も適した薬剤や材料を使う

根管の洗浄や、根管充填(歯の神経の通り道の蓋をすること)に最も適した薬剤や材料を使う。

根管治療は、根管の中に潜む細菌を減らし、繁殖できない環境を作ることで成功に導きます。

特定の薬剤では殺菌できない細菌がいたり、根管の中で再繁殖しやすい根管の蓋の材料もあるので、最適な薬剤と材料を使う事が根管治療の成功率を上げる事に繋がります(※優れた薬剤や材料でも保険治療で使えない物があります)

根管の中に細菌が感染して膿んでしまっている場合は、以上の点を留意した治療をされているか、歯科医院に問い合わせた上で根管治療を受けられることをお勧めします。

6絶対、根管治療に失敗してほしくない

根管の中というのは、一般の外科処置のように身体の内部を触るのと同じ事です。

ついつい、歯は臓器という認識が薄くなってしまいます。なので、身体の中を治療しているという感覚が薄くなってしまうのです。

もしも、身体の中の外科手術で、体の中に細菌が入り込むような環境で治療されたらどうでしょうか?根管治療でラバーダム除湿を行わないということは、そういう事なのです。

たかが、歯の根っこの治療だと軽視せずに、1本の歯をでできできるだけ長く温存してくれる歯科医院を選択していただければと思います。

歯を真剣に残したいとお考えの方は、一度ご相談ください。

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