2017
8/03
50〜70%の確率で『失敗』する根管治療を変えたい
歯ぐきから膿が出てきたので歯科医院に行くと、被せ物を取って根の治療が必要と言われ、被せ物をとらずに治療したいのですが...。このお悩みの方の膿が溜まっている状態がどんなものかを解説。そして、50〜70%の確率で失敗するという根管治療の成功率をあげる当院の治療方法をご紹介します。
この記事の目次
先日寄せられた、40代男性のお悩み
『歯ぐきから膿が出てきました。歯ぐきを触ると膿が出てきたので、かかりつけの歯科医院に行くと被せ物を取り、根の治療が必要と言われました。被せ物をとらずに、膿を歯ぐきから押し出すこと等はできないのでしょうか?』 (一般:男性:40代)
本ブログは、できるだけ皆様の切実なお悩みに真摯にお答えし、できるだけ正しい歯科治療を知っていただくための情報ブログです。
ここでは、皆さんから頂戴する歯に関する不安やお悩みで、特に多いものをピックアップし、分かりやすくご説明することを目的としています。歯医者さんの治療とは、皆が知っているようで、実は正しく知られていないのが現状です。
普段から、疑問に思っている事をつまびらかに情報を開示し、皆さんのお悩み解決の糸口になることを第一に考え、日々、ブログを書き綴っております。是非、御覧ください。 歯ぐきに膿が溜まっている状態というのは、とても辛い状況だと思います。 このお悩みに回答する前に、まずは、歯ぐきに膿が溜まっている状態というのは、どういう状態であるかを知っていただく必要があります。
歯ぐきのみならず、身体のどこかで膿が溜まるという状況は、細菌と白血球が闘っている状態です。つまり、炎症による生体反応であることをご理解頂く必要があります。 それが歯ぐきで生じているということは、歯ぐきの中で『細菌と白血球が闘っている』状況にあるということです。では、どういう状態なのかを、さらに具体的に解説していきます。 お話から推察すると、歯ぐきの中に膿が溜まっている原因は4つ考えられます。 一つ目は、歯の神経が死んでしまっている。 です。 上に挙げた、三つ目と四つ目は抜歯になる可能性が高いです。
よって、歯を残せる可能性が高い、一つ目と二つ目の原因に的を絞ってお話したいと思います。 これらはどちらも、根管(歯の神経の通り道)に細菌が感染し、歯の根の周りに膿が溜まっている状態を示しています。 それでは、このような状態にある場合、『具体的に歯の治療をどうするか?』について解説していきたいと思います。 もちろん、このお悩みを抱えている方がおっしゃるように、根の周りに溜まっている膿をとる手術もあります。 膿を歯茎から押し出したとしても根管内部が徹底的に殺菌されていないとまた膿んでくる可能性が高いからです。とても、注意が必要です。 これは、すでに治療をしている歯も同じです。すでに治療をしている歯であれば、被せ物を外して「再治療」という事になります。 根管治療とは、根管の中にいる細菌を殺菌・消毒する治療です。
この根管治療を『きちんと行うことで』、根管に細菌が感染してできた歯ぐきの膿の7割が根管治療で消失すると言われています。 なぜなら、日本における根管治療は、再治療が実に多いからです。 日本の根管治療の失敗率は、50〜70%であるというデータがあります。逆をかえせば成功率は30〜50%。実に驚きの数値ですが、残念ながら現実です。(※データの根拠はこちら) 日本の歯科治療が如何に、根管治療の精度を追求・改善してこなかったかが如実に分かります。 このことを、一般の方々に知ってもらいたいと切実に思っています。
まず、根管治療を成功させるため(再治療率を下げる)には、以下の4つの方法をとる必要があることを知っていただきたいです。 逆に言えば、上記の4条件を満たす治療でなければ、何度でも再治療になる可能性もあります。何度も何度も、膿が溜まってしまう方は、これまでの根管治療の方法では不足かもしれません。 ただし、根管治療も一筋縄ではいきません。 根管は枝分かれしていたり曲がっていたりと複雑なことも多いのです。
よって、根管を確実に殺菌・消毒するのは困難を極めます。 下記に、具体的な当院での治療法をご説明いたします。
① ラバーダム防湿
ラバーダム除湿 ② 滅菌された機材を使う。 ③ 根管治療に最適なマイクロスコープを使う 肉眼はもちろんのこと、拡大鏡をつけても、ほとんど見えていないと言えるでしょう。実際に、かつての私もそうでした。それを痛感したからこそ、今はマイクロスコープでの根管治療を徹底しています。 マイクロスコープは、30倍まで視野を拡大でき、また明かりの入りにくい細い根管の中を明るく照らすための特殊な光源(同軸光源)が付いているので、暗く細い根管の中をハッキリ見ることができます。また、当医院のマイクロスコープの光源は根管治療に最適なキセノンランプを使っています。根管治療にはマイクロスコープが必要です。 ④ 歯科用CTを使う ⑤ 最も適した薬剤や材料を使う 根管治療は、根管の中に潜む細菌を減らし、繁殖できない環境を作ることで成功に導きます。
特定の薬剤では殺菌できない細菌がいたり、根管の中で再繁殖しやすい根管の蓋の材料もあるので、最適な薬剤と材料を使う事が根管治療の成功率を上げる事に繋がります(※優れた薬剤や材料でも保険治療で使えない物があります)。 根管の中に細菌が感染して膿んでしまっている場合は、以上の点を留意した治療をされているか、歯科医院に問い合わせた上で根管治療を受けられることをお勧めします。
『膿』とは、細菌と白血球が闘っている状態
膿がたまってしまうと、口臭なども気になるでしょうし、ついつい絞って出し切ってしまいたくなるのではないでしょうか?
二つ目は、以前受けた根管治療(歯の神経の治療)が不完全。
三つ目は、重度の歯周病。
四つ目は、歯根破折(歯の根にヒビが入っっている)
2つの原因の違いは、すでに治療をしている歯であるか、そうでは無いかの違いだけです。根本原因は全く同じことです。
根管治療の再治療の可能性
しかし、通常の歯科治療でいえば、手術をせずに根管治療(歯の根っこの治療)により、膿を改善する方法を選ぶのが第一選択でしょう。
実は、ここで私が『きちんと行うことで』と付け加えたのには理由があります。
それに対しアメリカでの根管治療の成功率は90〜95%です。根管治療とは、非常に精密な技術を必要とする治療です。
このお悩みをお持ちの方も、すでに根管治療済みの歯に膿が溜まっているようであれば、この根管治療の再治療にあたります。きちんとした根管治療を行わなければ、何度でも再治療が必要になります。成功率をあげる根管治療に欠かせない方法
成功率をあげる当院での根管治療
根管の洗浄や、根管充填(歯の神経の通り道の蓋をすること)に最も適した薬剤や材料を使う。