患者さんには自覚症状はありませんでしたが、他の歯の根管治療でCTを撮影したところ下顎第一大臼歯にも膿の影がみられました。
CT画像には下顎第一大臼歯の歯根の横に長い骨吸収の影がみられ、歯根破折が疑えるケースでした。ただ、今回のような長い骨吸収像がみられても歯根が割れておらず、単に根管治療不足が膿の原因になっていることもあるので、精密根管治療を開始しました。
初診時の下顎第一大臼歯の矢状断のCT画像です。
矢印の先に膿の影がみられます。
初診時の下顎第一大臼歯の冠状断のCT画像です。
矢印の先に、舌側に根の沿って長い影が認められます。歯根に沿った長い影がみられるときは、歯根破折の可能性があります。
歯根破折を疑わせる影が認められも割れていないことがあります。顕微鏡下で歯根破折は観察されなかったため、精密根管治療を行いました。画像は、根管充填時のレントゲン写真です。
精密根管治療6カ月後の経過観察時の矢状断のCT画像です。下顎第一大臼歯の矢印の先にあった膿の影が消え、歯槽骨が再生しています。
精密根管治療6カ月後の経過観察時の冠状断のCT画像です。下顎第一大臼歯の根の舌側に拡がっていた長い膿の影が消え、歯槽骨が再生しています。膿の原因は、単なる根管治療不足でした。
本症例の膿は、歯根破折ではなく根管治療の失敗が原因でした。歯根破折が疑えるケースでも、すぐに抜歯をせず、よく精査することが重要です。歯根が割れていなければ正しく根管治療を行うことにより膿が治る可能性があるからです。
《根管治療の主な副作用》
ラバーダム防湿が必要になり、開口時間が長くなります。歯科用顕微鏡による精密根管治療は、肉眼や拡大鏡では見えないところ(治療が不十分であった部分)が見えるようになるため、なすべき治療が増えるので治療時間や治療日数がかかります。
《治療期間》
おおよそ、3〜5日(1回1時間の目算です。)
《治療費》
精密根管治療費(消費税込み):前歯132,000円、小臼歯154,000円、大臼歯 176,000円
>>より詳しい情報は、当院の根管治療ページでご案内しておりますので、あわせてご覧ください。
全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡歯科学会認定医
根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞






