Vol.20 上顎洞内の炎症が根管治療で改善したケース
他医院で詰め物をした歯が痛くなったということで当医院にいらした患者さんです。上顎第一大臼歯の詰め物は歯髄に達し、歯髄が壊死し根尖病変ができた結果、痛みを起こしていることが考えられたケースです。また、CT画像では上顎洞内の粘膜が炎症を起こし白く肥厚し、隣接する根尖病変から上顎洞に炎症が波及し上顎洞炎も併発していると思われます。
根管治療により根尖病変を改善できれば、上顎洞炎も同時に改善することが考えられるため精密根管治療を行いました。

初診時のCT画像です。

赤い矢印の先に均一で薄い白い像がみられます。上顎第一大臼歯の歯髄の壊疽が原因で上顎洞の粘膜が炎症を起こし、上顎洞内で腫れあがっている状態と考えられます。

精密根管治療を行い根尖病変と上顎洞炎の改善をはかりました。画像は、根管充填時のレントゲン写真です。

根管治療6ヶ月後のCT画像です。

矢印の先にあった、上顎洞の粘膜の白い肥厚が消失してきています。精密再根管治療により、上顎洞炎が改善されています。
むし歯治療をしたのちに歯の神経が死んでしまい、その結果上顎洞炎まで起こしてしまうこともしばしば存在します。歯の神経に近接するむし歯治療をするときは、のちに起こるリスクを想定し神経を保護することがこのようなケースの予防に繋がるため、根管治療だけではなくむし歯治療でも精密な治療を行うことが重要です。
《主な副作用》
ラバーダム防湿が必要になり、開口時間が長くなります。歯科用顕微鏡による精密根管治療は、肉眼や拡大鏡では見えないところ(治療が不十分であった部分)が見えるようになるため、なすべき治療が増えるので治療時間や治療日数がかかります。
《治療期間》
おおよそ、3〜5日(1回1時間の目算です。)
《治療費》
精密根管治療費(消費税込み):前歯132,000円、小臼歯154,000円、大臼歯 176,000円 (根管治療費以外に別途、被せ物・土台除去、隔壁作成の費用がかかることがあります。詳細は、お問い合わせください。)
>>より詳しい情報は、当院の根管治療ページでご案内しておりますので、あわせてご覧ください。

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日本顕微鏡歯科学会認定 歯科医岡野 眞