2017

8/28

根管治療の延長である『土台』。メタルコアではなくファイバーコアを推奨する理由。

記事概要

根管治療後に行う『土台』。この土台が実は歯が長持ちするかを左右するとても大事なものになります。土台にはメタルコア(金属の土台)とファイバーコア(樹脂の土台)の2種類があります。そのメリット・デメリットを知っていただき、なぜ当院では100%ファイバーコアを使用しているのかなどの理由についてご説明します。

本ブログは、患者様から寄せられたお悩みへの回答を中心に、皆様にぜひ知っていただきたい大切なお話を、できるだけ分かりやすくまとめて記事にしています。

今回は、患者様からのお悩みではなく、よくある歯科治療の現場の問題を例に、特に知っていただきたい事実をご説明いたします。今回は、根管治療後に行う『土台』のお話です。あまり光の当てられない所ですが、根管治療の成功率を左右する、非常に重要な治療です。当院では100%ファイバーコア(樹脂の土台)を使いますが、その優れた特性など、ファイバーコアを使う理由についてご説明いたします。

『土台』の素材に種類があるって知っていますか?

今回のブログ記事では、歯の神経をとった後の『土台』の話について書きたいと思います。
歯の神経をとらなければならない程まで虫歯が進行してしまうと、歯の神経を抜いた後の歯は、大きく欠損していることが多いのです。

そのため、その上に被せ物をする場合には、大きく欠損した部分を補填して土台を作る必要があります。
治療した歯の根の上に、土台を作って初めて被せ物ができます。

今回のお話は、この『土台』のお話です。

実は、この『土台』は、最終的には被せ物の下に隠れてしまうものですが、歯が長持ちするかを左右するとても大事なものなのです。
とても大事な部分なのでブログにまとめようと思いました。つまり、土台が良くないと、その上に、どんなに良い被せ物が入ったとしても台無しになってしまうかもしれないのです。

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それでは、どのような土台が良いのでしょうか?下記にご説明します。

『土台』は素材の違いで2種類に分けられます。
一つはメタルコア(金属の土台)、もう一つはファイバーコア(樹脂の土台)です。

メタルコアが入った歯です。銀色が金属部分です。

上の歯にファイバーコアを入れ直しました。

これらは、それぞれ素材の違う2種類ですが、患者さんにおいてはメリット・デメリットがありますので知っておいた方が良いことを下記にまとめます。

まず、メタルコア(金属の土台)は、歯を削る量が多く、必ず型採りが必要です。

歯を削る量が多いということは、(残った)歯が薄くなるという事であり、今後、歯の根が割れる確率が高くなります。特に金属の土台は硬いので歯の根が割れやすくなるので深刻です。

また、メタルコアは必ず型採りが必要ですので、メタルコアが入るまで2回の回数が必要です。その間、仮蓋がしっかりされていないと、型採りからメタルコアが入るまでの間に細菌が入り込み、根管が汚染され根尖に病巣ができてしまう可能性があります。(歯の根っこの破折および根尖に病巣についてはこちらの記事もお読み下さい)

折角、根管治療で綺麗に消毒して根管充填(根管を消毒した後、細菌の根管内での繁殖を防ぐために充填をすること)した根管を感染させてしまう可能性があるのです。ここまでの根管治療が上手くいっていてもここで失敗したら、目も当てられません。

また、金属アレルギーがある方にはメタルコアはお勧めできません。メタルコアの材料に銀が多く含まれているので、歯や歯の周りの歯肉が黒く変色することもあります。

次に、ファイバーコアです。

ファイバーコア(樹脂の土台)は、型採りを必要としませんので、土台の歯にダイレクトに樹脂を盛り上げることができるので、歯を削る量を最小限にすることができます。
メタルコアは、型採りの過程で変形があると歯の根に上手く入らないことがあるので、直接、歯に樹脂を盛り上げることができるファイバーコアが一番精度の良い土台を造ることができます。

ファイバーコアは型採りが必要ないので、ファイバーコアを作るときにラバーダム防湿を行えば、メタルコアとは異なり、根管が細菌感染を起こすことを防ぐことができます。

また、ファイバーコアは、硬さがメタルコアよりも歯の硬さに近いので、メタルコアより歯が割れにくいのも大きなメリットです。
そして、ファイバーコアは光を通す特徴があります。白い被せ物(クラウン)では光を通さないメタルコアより、より自然な色を再現することができます。

あまり注目されない根管充填材の重要な問題

さらに、もう少し専門的な事を説明しておきたいと思います。
それは、根管充填材のお話です。

根管充填材とは、根管充填を行う際に根管内を緊密に封鎖するために使用される材料のことです。いろいろな種類があり、ガッタパーチャという天然ゴム(樹脂)性のものが最も頻繁に使用されています。

しかし、当医院ではMTAセメントを使用しています。

MTAセメントに関する詳しい説明は専門的になるので、簡単に説明します。当医院がなぜ、ガッタパーチャではなくMTAセメントを使っているかというと、ガッタパーチャによって根管充填されている場合は、コア(土台)を建てる時に、ガッタパーチャがめくれたり、外れてきてしまうことがあるからです。

剥がれたりすれば、そこから感染することも考えられます。日本の根管治療の失敗率を考えれば、(※データの根拠はこちら)どこで感染が起こっていてもおかしくないのです。ガッタパーチヤは歯との接着性は無く、MTAセメントは歯との接着性があるため、めくれたり、外れてくることはありません。

よって、土台作成時の感染リスクを極力低くするため、当医院ではMTAセメントを使っています。また、生体親和性が高いこともMTAセメントの特徴の一つです。

当医院のブログでも何度も根管治療時の再感染については触れています。

きちんとした根管治療を実現するためには、この『感染』という点を避けて通ることはできません。

根管充填材など、ちょっとニッチな話題でしたが、触れない訳にはいかなかったので触れてみました。

患者さんのためにファイバーコアを推奨します

前にも述べたとおり、患者さんのメリットを優先して、当院では土台作りは現在100%、ファイバーコアを使っています。

ファイバーコアはメタルコアに比べ、様々な点で優れた特徴が多いからです。

しかし、ファイバーコアの特徴を生かすためには、必ず、ラバーダム防湿下での施術が必要です。

確実なファイバーコアの接着、および、作成時の再感染を起こさせないためにもファイバーコア作成時には、最初の形成時からラバーダム防湿をしてファイバーコアを作成すべきです。

当医院では100%行います。

一回法のファイバーコアを施術する場合でも感染する可能性が0ではありません。ラバーダム防湿をすることで、清潔で、なおかつ唾液が入らない環境でファイバーコアを作る事ができ、ファイバーコアの良いところを確実に活かす事ができます。

真剣に根管治療を成功させたいのなら、土台作成時もラバーダム防湿をするべきです。なぜなら、土台の作成も根管治療の延長だからです。

通常、一般的な根管治療においては、根管充填まで(土台を入れる前まで)は、感染に気を配って慎重に根管治療を行いますが、『土台』を造る段階になると、若干、感染対策が甘くなります。

土台作りは、その後の歯の運命を左右しかねない大事な工程です。歯を長持ちさせるためには、被せ物の下に隠れてしまう土台部分も大切であるということを理解していただきたいと思います。