2018

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連載「歯科医療の革命~顕微鏡歯科治療」第5回  歯の神経の治療とは?「歯内療法」や「根管治療」は痛みや腐敗を除去する重要な治療

記事概要

HEALTHPRESS(ヘルプレ)に寄稿しました。以下、許可をいただき転載しておりますので、是非およみください。

HEALTHPRESS(ヘルプレ)に寄稿しました。以下、許可をいただき転載しておりますので、是非およみください。以下、こちらより転載(http://healthpress.jp/2018/09/post-3775.html)(2018.09.15)

「歯内療法」や「根管治療」は痛みや腐敗を除去する重要な治療

 皆さんの中に、歯の神経の治療を受けたことがある方はいらっしゃるでしょうか。

 むし歯が重症化すると、バイ菌が歯の神経に入り込み、夜も眠れないほど痛みが出ます。そうなると「歯の神経」を取らなくてはいけない状況になります。バイ菌によって傷んだ神経を取ることによって、痛みを除去する治療も、歯の神経の治療の一つです。

 このように歯には、その中に神経が通っています。そして、歯の神経の通っている道を「根管」と言います。また根管の中には、神経や根管の中の組織に栄養を送る血管が通っています。この根管の中にある組織を「歯髄」と言います。

歯髄は、機械的、化学的、温度的な刺激を痛みとして伝える役割があります。その他、歯髄は、歯髄内壁に防御反応として象牙質を添加したり、むし歯などの細菌感染に対して歯髄炎という炎症を起こしたりします。

 実は、歯の神経は歯髄の中にある組織で、歯痛は歯髄炎により歯の神経が傷んで起こります。歯痛によって歯の神経を取ることは、この歯髄を取ってしまうことです。

歯髄の問題で起こる痛みや腐敗を除去する「歯内療法」

その、歯髄の治療を歯科用語で「歯内療法」と言います。歯内療法は、歯髄が生きている歯の治療と歯髄が死んでいる歯の治療に分けられます。歯髄が生きている歯の歯内療法は、さらに歯髄を生き残す治療と歯髄を取る治療に分けられます。

 むし歯が重症化すると、むし歯の穴から細菌が歯髄に入り込みます。そうすると、歯髄が炎症を起こし、痛みを発っしたり、場合によっては歯髄が死んで腐敗し始めることもあります。

 歯内療法は、歯髄の問題で起こる痛みや腐敗を取り除き、再度、歯を使えるようにする、非常に重要な治療です。さらに歯内療法は、歯を長期間、快適に使うためにも、基礎となる非常に大切な治療です。歯内療法を疎かにすると、後で再び痛んだり、歯肉が腫れたりすることもあり、せっかく入れた冠せ物や詰め物を壊して再治療をしなければなりません。場合によっては、何度も再治療しても治らず抜歯になることもあるのです。

 歯の神経を抜く治療とは、歯髄を歯から取り除く治療です。歯髄が無くなることにより、歯に栄養は届かなくなり、また痛みなども感じなくなります。

 ただ、歯髄を歯から取り除くことにより、その歯の寿命を短くしてしまう可能性があるので、歯髄の状態が良ければ、むし歯が大きくても歯髄を保存する治療を行います。歯髄を保存する治療を「覆髄」と言います。覆髄の後、経過が良ければ、歯髄を生かしたまま詰め物や被せ物をします。

歯髄を取り除く「根管治療」

それに対し、歯髄を取り除く治療、もしくは歯髄の通り道である根管を殺菌・消毒する治療を、「根管治療」と言います。

 根管治療の中で、歯の歯髄組織を取り除く治療を「抜髄」と言います。むし歯などの原因で歯髄にバイ菌が入り込み、歯髄が強く傷んでいるときに行われる処置です。歯髄にバイ菌が入り込んだことによる炎症で、歯髄は大きなダメージを受けており、歯髄を保存する治療は適応ではなく、もはや歯髄そのものを歯から除去しないと痛みがとれなかったり、後々トラブルを起こすことが予想されるケースです。抜髄が成功すれば、詰め物や被せ物をして歯の機能を回復させます。

 それに対し、2回目以降の根管治療を「再根管治療」と言います。抜髄処置を受けたにもかかわらず、何らかの原因で根管にバイ菌が感染すると、歯の根の周りに膿などの炎症を持ってきます。

 歯の根の周りの膿は無症状で経過することもありますが、場合によっては歯肉が腫れてきたり、咬んだ時に痛んだり、何もしなくても痛んだりなどの症状を起こしてきます。

 根の周りに膿を持つのは、抜髄時に根管に感染をしてしまったケースや、再根管治療で根管が十分に消毒しきれなかったり、根管治療をした歯に詰め物や被せ物をした後、むし歯が再発してしまい、根管に再感染することが主な原因です。

 また稀ですが、抜髄又は再根管治療時に歯の根の底に穴を開けてしまっていたり、根管に根管治療の清掃器具が折れ込んでいることがあります。適切な処置が行われていなければ、これらも歯の根の炎症の原因になっていることがあります。

 再根管治療は、バイ菌で汚染された根管を殺菌・消毒しなおし、歯の根の周りの膿をなくして再び歯を使えるようにする治療です。再根管治療は、成功しないと抜歯につながりかねない治療なので、その歯にとっては最後の砦ともいえる治療です。それだけに、高度な治療技術が求められます。

 最後に、再根管治療で根の周りの膿が治らなかった場合、外科的歯内療法をして改善させます。外科的歯内療法は、再根管治療をした歯の根の先を、歯肉を切開して直接患部を露出させて処置したり、場合によっては歯を抜歯して処置をした後、歯を戻したりします。ただ、外科的歯内療法は適応症やリスクもあるので、可能な限り根管治療で治すことを目指すべきです。

 歯の根の周りの慢性的な炎症は、体の他の臓器にも影響を及ぼすと言われてきてもいますので、しっかり治しておきたいですね。歯にとってとても大切な組織である歯髄は、このように重要な役割を担う組織であることを知っておいていただきたいと思います。
(文=岡野眞)

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