2020

6/11

【動画で見る、顕微鏡歯科治療と根管治療:Vol.5】 歯肉縁下の歯石が取れれば、歯周病は改善する(歯周ポケット内の歯石除去)

記事概要

歯周病を未然に防ぐ(予防する)、または改善するためには、まず歯周ポケットの中を少しでも清潔にして歯周病の原因菌を減らさなければなりません。そのためには、細菌の繁殖の足掛かりになるポケット内(歯肉縁下)の歯根面についている歯石を確実に除去する必要があります。歯科用顕微鏡は、根管治療で大きな威力を発揮する通り、狭くて暗いところを覗くのが得意です。見えづらい歯肉縁下の歯根面でも、歯石がちゃんと見えれば歯石を取ることができます。結果、歯石が取れれば歯周病が改善する確率が上がります。最終的に、歯周病が改善すれば抜歯にならずに済むのです。
実際に、歯科用顕微鏡を用いて歯肉縁下の歯石をとっている治療を動画で解説いたします。

歯周病の原因は歯垢

歯の周りには、歯を支える『歯周組織』があります。『歯周病』とは、この歯周組織が壊れる病気です。歯周病は抜歯の原因の約40%をしめ、抜歯に直結する病です。

歯周病は、急に重症化するわけではありません。歯周病は気付かない間に静かに進行し、重症化していくにつれ歯槽骨の吸収が始まり、同時に歯周ポケットが深くなっていきます。

歯周病の原因は細菌の塊である歯垢です。その歯垢が、深くなった歯周ポケットの中でさらに増えていきます。そして、歯垢が長期に歯の周りに残存していると、歯周ポケットの内側(歯肉縁下)の歯根の表面に歯石が付着し始め、その歯石を足掛かりに、どんどん歯周病の原因菌が歯周ポケット内で繁殖していきます。そして、その歯石の上にまた歯石が付着し、また細菌が繁殖し、それを繰り返して歯石が広範囲に、また大きく成長していきます。

歯石の前段階である歯垢は細菌の塊なので柔らかく、セルフケア(歯ブラシ・フロス・歯間ブラシ)で落とすことができますが、歯垢が歯石になってしまうとセルフケアでは落とせなくなってしまいます。歯石はまさに石のように固く、歯に強固に付着しているからです。

歯周病を未然に防ぐ(予防する)、または改善するためには、まず歯周ポケットの中を少しでも清潔にして歯周病の原因菌を減らさなければなりません。そのためには、細菌の繁殖の足掛かりになるポケット内(歯肉縁下)の歯根面についている歯石を確実に除去する必要があります。

ただ歯石を除去するだけでは改善しない歯周病

ここで、歯周病を改善するためには、細菌の繁殖の足掛かりになる歯石をとればいいのかと思われるかもしれませんが、歯石をとる以前に、もっと重要なことがあります。

歯科医院で歯石を取りさえすれば歯周病が改善するかといえば、そうではないのです。

実は、日々のセルフケアケア(歯ブラシ・フロス・歯間ブラシ)が正しくできていなければ、いくら歯石を取っても歯周病は改善しません。何故ならば、歯周病は歯垢の中の歯周病菌が一番の原因だからです。歯石を取る以前に、正しいセルフケアで歯垢が日々落ちていなければ、歯石を取っても、その効果はその場限りになり、歯周病菌が深い歯周ポケットの中でまた繁殖してしまいます。

歯石除去ばかりに目が行きやすいですが、まずは正しいセルフケアの指導を歯科医院で受けていただく事が、歯周病の改善と予防の大前提となります。

歯科医院での歯石の除去は、歯肉縁上の歯石と歯肉縁下の歯石では、その難易度が異なります。歯肉縁上と歯肉縁下については下記のイラストをご覧ください。歯肉よりも上に付いている歯石が歯肉縁上歯石、歯肉よりもぐった歯肉溝内の歯根面に付いている歯石が歯肉縁下歯石です。歯石がどの位置についているかで歯石除去の難易度が変わるのです。

すべからく、その難易度が上がると歯石の取り残しが増えます。

歯肉縁上歯石は視界を遮るものが少ないので、歯石を目で観ることができます。そのため、歯石除去の難易度が下がります。

それに対して、歯肉縁下歯石は歯周ポケット内の歯根面に付着しているため、簡単に目で観ることはできません。見えていないために、歯石除去の機材を持った、手指の感覚で取らざるを得ないのです。

ただし、歯石が目視できていないということは、歯石が確実に取れているか確認できていないということになります。

さらに、歯肉縁下の歯石は歯肉縁上の歯石に比べて歯根面に非常に強固についています。

しっかり歯根面に付いているため、ポケット内の見えていない歯石の表面を行ったり来たりして、歯石の上を滑るような感じで取れていなかったり、また歯根面は凸凹していることもあるので窪みにある歯石を取り残してしまったり、見えない歯肉縁下の歯石の除去は困難を極めます。

結果、歯周病菌の繁殖の足掛かりのなる歯肉縁下の歯石が十分取り切れず、歯周病が治らないということになります。

歯周病が抜歯の原因の40%を占めるのは、この歯肉縁下歯石の除去の難しさが原因の一つといっても過言ではないと思います。要は、歯石を取り残してしまっているのが抜歯の原因の一つになってしまっているとも考えられます。

歯肉縁下の歯石でも、見えれば除去できる

歯肉縁下の歯石が見えずに歯石がとれないようなら、見えるようにすればいいのです。

ここで、歯科用(治療用)顕微鏡の出番です。

歯科用顕微鏡は、根管治療で大きな威力を発揮する通り、狭くて暗いところを覗くのが得意です。

根管と同じ用に、狭くて暗い歯周ポケット内の歯根面を、明るく照らし大きく拡大し、状態を把握するのに威力を発揮します。肉眼やルーペ(拡大鏡)で見えない歯周ポケット内も歯科用顕微鏡ではより良く見えます。

見えづらい歯肉縁下の歯根面でも、歯石がちゃんと見えれば歯石を取ることができます。結果、歯石が取れれば歯周病が改善する確率が上がります。最終的に、歯周病が改善すれば抜歯にならずに済むのです。

歯科用顕微鏡を使って歯周病の治療をすれば、歯周病は抜歯の原因のNo.1ではなくなるかもしれません。見えなかったために、治せるものも治っていなかたのかもしれません。だから歯周病の治療でも歯科用顕微鏡が必須だと考えています。

本動画は、顕微鏡下での歯肉縁下歯石の除去の一例です。

超音波スケーラーという機材を使って歯肉縁下の歯石を除去しています。超音波スケーラーは手指の感覚を感じにくい機材ですが、ピンポイントに歯石を除去したり、歯根面の窪みに器具の先端を入れることができます。複雑な歯根面に対応しやすいので、歯肉縁下の歯石除去に適しています。ただし、顕微鏡下での歯石除去は簡単ではなく、術者もアシストをするスタッフも熟練を要します。

歯科用顕微鏡を持っていれば誰でもできるということではないのです。

このように、顕微鏡で目視することで歯肉縁下の歯石を、超音波スケーラーを使ってより精確(精密に確実)に除去することができます。また、顕微鏡治療は治療中の動画を録画できるので、治療後にその場で治療前・治療中・治療後の動画をモニターに再生し、当日の歯周病治療を毎回見ていただけます。

当医院では、根管治療、詰め物・被せ物治療の他、歯周病治療にも歯科用顕微鏡を使っています。そして、歯周病治療の成功率を高めています。