Vol.21 根管治療を成功させるためにはラバーダム防湿が必須。根管治療によって抜歯が回避できたケース
上顎側切歯の根管治療をしても膿が治らず、抜歯を宣告されて当医院に来院されました。根の先にある膿は、隣の歯の根に達する程、唇側の歯槽骨は穿孔があり舌側の歯槽骨も穿孔寸前になる程の大きさでした。歯は、歯茎から上が残っておらず、ラバーダム防湿をせずに根管治療をされていました。ラバーダム防湿をしなければ、術中に唾液内の細菌の侵入を防ぐことはできません。また消毒薬が歯肉に漏れてしまい歯肉が障害されるので、適切な消毒薬が使えず膿を治すことができません。まずは、ラバーダム防湿ができる状況にすることが先決です。
精密根管治療にかかる前に隔壁を作成し、更に審美性を確保するために仮歯も作成しました。精密根管治療時は毎回ラバーダム防湿を設置し、適切な根管消毒薬を使用し根管を徹底的に殺菌・消毒しました。その結果、大きかった膿は消失し抜歯を免れることができました。

初診時のレントゲン写真です。矢印の先が上顎側切歯です。歯が歯茎から上の部分の残存が無くラバーダム防湿無しに根管治療をされていました。

初診時の上顎側切歯の冠状断のCT画像です。矢印の先にある黒い膿の影は、隣の犬歯の歯根に達するほど大きくなっていました。

初診時の上顎側切歯の矢状断のCT画像です。根の先にできた膿が大きく、赤い矢印の先で唇側の歯槽骨を穿孔しています。また、舌側の歯槽骨も穿孔寸前まで薄くなっています。

隔壁を作成しラバーダム防湿下で適切な根管消毒薬を使い徹底的に根管内を殺菌・消毒したのち、根尖までしっかり根管充填を行いました。画像は、根管充填時のレントゲン写真です。

精密根管治療6ヶ月後の冠状断のCT画像です。矢印の先にあった、隣の犬歯の根に達するほど大きかった膿の影が消失し歯槽骨が再生しています。

精密根管治療6ヶ月後の矢状断のCT画像です。赤い矢印の先にあった穿孔が歯槽骨の再生によって塞がっています。根の先にあった膿も消失しています(青い矢印の先)。
正しく根管治療を行わなければ、本来は治せていた膿も治らないということが起こります。ラバーダム防湿は根管治療の基本中の基本です。当医院では、根管治療時にほぼ100%隔壁を作成して治療を行っています。
《主な副作用》
ラバーダム防湿が必要になり、開口時間が長くなります。歯科用顕微鏡による精密根管治療は、肉眼や拡大鏡では見えないところ(治療が不十分であった部分)が見えるようになるため、なすべき治療が増えるので治療時間や治療日数がかかります。
《治療期間》
おおよそ、3〜5日(1回1時間の目算です。)
《治療費》
精密根管治療費(消費税込み):前歯132,000円、小臼歯154,000円、大臼歯 176,000円 (根管治療費以外に別途、被せ物・土台除去、隔壁作成の費用がかかることがあります。詳細は、お問い合わせください。)
>>より詳しい情報は、当院の根管治療ページでご案内しておりますので、あわせてご覧ください。

日本では根管治療の成功率が30~50%とされる中、
当院の根管治療の成功率は98.7%、
膿が再発するケースはほぼ100%ありません。
日本顕微鏡歯科学会認定 歯科医岡野 眞