Vol.29 根の先と根の分岐部の両方に膿がみられたケース
上顎第一大臼歯の根の先と根の分岐部の両方に膿がみられたケースです。他の歯の根管治療でCTを撮影したところ膿のある歯が見つかりました。特に症状もなく、患者さんは膿の存在に気づかれていませんでした。
上顎第一大臼歯には3本の根があり、そのうちの近心頬側の根の先と、3本の根が分かれる分岐部に膿がみられました。近心頬側根の膿は根管治療の失敗、根の分岐部の膿は治療時の根管壁穿孔(パーフォレーション)が原因として考えられました。
適切な再根管治療により、2か所の膿の改善をはかりました。

上顎第一大臼歯の初診時の矢状断のCT画像です。

赤い矢印の先の近心頬側根の先に膿の影がみられます。

上顎第一大臼歯の初診時の冠状断のCT画像です。

赤い矢印の先の歯根の分岐部に黒い膿の影がみられます。土台が歯根の分岐部を貫通しているのが、膿の原因と考えられます。

精密再根管治療で膿の改善をはかりました。分岐部穿孔部のパーフォレーションリペアと根管充填を行った時のレントゲン画像です。

6カ月後の経過観察時の矢状断のCT画像です。近心頬側根の根の先にあった膿の影が消え、歯槽骨が再生しています。

6カ月後の経過観察時の冠状断のCT画像です。適切なパーフォレーションリペアによって根の分岐部にあった膿の影が消え、歯槽骨が再生しています。
適切な精密根管治療により、近心頬側根と根の分岐部にあった両方の膿が改善しました。両方の膿が同時に良くならなければ手術や分割抜歯を行わなければいけなせん。根管治療は、できるだけ手術や分割抜歯をせずに治すのが当医院の方針です。今回も低侵襲の根管治療により患者さんの負担を最小限にして治すことができました。
《根管治療の主な副作用》
ラバーダム防湿が必要になり、開口時間が長くなります。歯科用顕微鏡による精密根管治療は、肉眼や拡大鏡では見えないところ(治療が不十分であった部分)が見えるようになるため、なすべき治療が増えるので治療時間や治療日数がかかります。
《治療期間》
おおよそ、3〜5日(1回1時間の目算です。)
《治療費》
精密根管治療費(消費税込み):前歯132,000円、小臼歯154,000円、大臼歯 176,000円 (根管治療費以外に別途、被せ物・土台除去、隔壁作成の費用がかかることがあります。詳細は、お問い合わせください。)
>>より詳しい情報は、当院の根管治療ページでご案内しておりますので、あわせてご覧ください。

全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡歯科学会認定医
根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞