岡野歯科医院
根管治療・マイクロスコープ【武蔵小杉駅徒歩1分】完全予約制・自由診療TEL.044-711-8241
役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

お悩み相談

【お悩み相談】Q11.厚みの無い歯冠上部(歯根)に“ひび”が入った場合の処置方法はありますか?予後は極めて悪いのでしょうか?

記事概要

以前より皆さんから頂く歯に関する不安やお悩みについてブログを通じてお答えさせていただけたらと思い、この度「お悩み」と、その解決法の提案についてコラムを書きました。

1回答:歯肉縁下の歯根の破折の場合、その状況によっては抜歯にならない事もあります。いずれにせよ、状況を精査し、患者さんにとってより良い治療を選択する必要があります。

歯根破折はよく寄せられるお悩みです

歯根に“ひび”が入っている状態を『歯根破折』といいます。
歯根破折は、当院に寄せられるお悩み相談の中で、多いトラブルの一つです。

歯根破折は、ヒビの入り方によって対処がかわります。そして、特に問題になるのが『歯肉縁下に及ぶ歯根の破折』です。
歯肉縁下とは、歯と歯茎の境目(歯肉縁)より下の事をいいます。

『歯肉縁下』で歯根破折が起きると、割れた“ひび”から細菌が侵入します。
さらに、“ひび”が歯肉の奥深くに及ぶと、歯肉に膿ができて、歯肉が腫れたり痛みが発生してきたりします。

『歯肉縁下』の歯根破折は、歯肉縁下のどこの深さまで“ひび”が入っているかが重要で、それによって歯を残せるか、抜歯するかなど対処がかわります。

Photo.歯肉縁下
歯肉縁下

“ひび”が歯肉縁下の浅いとこで止まっている場合

“ひび”が歯肉縁下の浅いところで止まっている場合は、“ひび”の部分をコンポジットレジンで埋めたり、手術で歯肉を下げて歯肉より上に露出させ、奥深くに細菌が入り込まないようにしたりします。また、小矯正により歯を引っ張りだし、“ひび”を浅い位置にすることで膿をもたない状況を作ります。

以上のような処置を行ったうえで、最終的に被せ物をして歯を抜かずに再度使っていくことができます。

“ひび”が歯肉縁下の深くまで入っている場合

一方で、“ひび”が歯肉縁下の奥深くまで入っている場合は、通常は抜歯となることが多いです。

しかし、(上顎大臼歯のように)一つの歯に複数の歯根があり、破折がその中の一本に限局している場合では、分割抜歯と言って、割れている歯根のみを切断して抜歯し、残りの割れていない歯根を使って被せ物をすることができることもあります。歯根の本数が少ない歯では分割抜歯はできませんので、抜歯になります。

ヒビがをそのまま残して被せ物をした場合は、被せた後に歯肉が腫れたり、痛んだりする可能性がありますので、当医院では歯根破折がどのような状態か精査した上で歯を残せるかどうかを判断し、治療を進めています。